リビングの三人掛けソファの前に立って、がくぽは途方に暮れていた。

カイトが寝ている。

それはいい。

クラブント

問題なのは――カイトの腕の中に、がくぽの羽織がしっかりと抱きこまれているということだ。

ぬいぐるみでも抱えこむように、ぎゅうっと。

顔を埋めて、健やかにお昼寝中だ。

放り出しておいた自分がもちろん悪いが――なにゆえ、この選択。

「……………カイト殿」

小さく呼びかけながら、頬を撫でる。ふにんとやわらかいそこをつまむと、カイトの瞼が震えて開いた。

「……………ふゃ………………がくぽ………………」

「ああ」

「ふひゃ………………がくぽだぁ……………」

応えに、カイトは蕩けるように笑った。

頬に添えられていたがくぽの手を取ると、羽織とともに胸に抱きこむ。

「………………カイト殿……………っっ」

そのまま再び寝に入られて、がくぽはがっくりと項垂れた。

手を抜けばいいだけ――だが、それが出来ない。

がくぽは途方に暮れて、カイトの寝顔を眺めていた。