「あ、おにぃちゃんが寝てる!」

リビングの陽だまりでころんと横になっている兄の姿を発見し、妹たちのテンションは上がった。

ウェステンラの

起きている兄もかわいいが、寝ている兄もかわいい。

ミクとリンはわくわくと近づき、カイトの傍らにちょこんと座った。

うずうずが堪えられず、手を伸ばすと、ほんのり赤い頬をつつく。

「あんまり、ぷにぷにって感じじゃないんだよね」

「レンとは違うよねー」

「レンくんぷにぷに?」

「おにぃちゃんよりはぷにぷに!」

「んにゅぅ」

しゃべりながらもずっと頬をつついていたミクとリンだ。さすがにカイトが眉をひそめて呻いた。

「貴殿ら」

「ふやっ」

背後からおどろおどろしい声が降って来て、ミクもリンも身を竦ませた。

振り返れば、お昼寝ブランケットを持ったがくぽが、渋面で立っている。

「寝ている者にすることか」

「だってー」

「んくふ………っ」

「…」

ぐす、とカイトが愚図る声を上げて、ミクもリンもがくぽへの抗議を止めた。

確かに少し、やり過ぎたかもしれない。

がくぽは肩を竦めると、ミクとリンを押しのけてカイトの傍らに膝をつく。

お昼寝ブランケットをその体に掛けてやって、髪を梳いた。

「貴殿もだぞ。このようなところで寝るからだ」

甘い声での詰りに、カイトがうっすら瞳を開く。ブランケットから手を出すと、がくぽへと伸ばした。

引き寄せられて、抵抗出来ないがくぽはカイトへと身を屈める。

「んく……ぁくぽ………………」

「…………………カイト殿…………っ」

ぎゅ、としがみつかれてそのまま再び寝に入られ、がくぽはわずかに項垂れた。

しかしすぐにきっと顔を上げると、しがみつくカイトの体を抱えて立ち、リビングから出て行く。

「…………『添い寝したうえに脱がしちゃう』に、次のお買いもの当番」

「じゃあリンは、『添い寝したうえにキスしちゃう』に、次のお夕飯当番」

傍観していた妹たちはそれぞれベットすると、にんまり笑って顔を見合わせた。

「しなかったら、がっくんに♪」

そして立ち上がると、わくわくを隠しもせずに、がくぽとカイトの後を追った。