がくぽが着物を脱ぎ捨て、体が露わになる。きれいに流れる筋肉と、辿って行けばどうしても目に入る、屹立したもの――

まにあるせくす-04-

「……っ」

恥ずかしさに正視できず、カイトはこくん、と唾を飲みこむと慌てて顔を逸らした。

がくぽの体を見るのは、好きだ。きれいだし、恰好いいし。

触れたい、とも思う。

思うけれど、いざ、こうして目の前に晒されると――いたたまれない。あの体が自分に伸し掛かって、押さえつけて、抱きしめて――

「ぅう………っ」

記憶が恨めしい。触られる前から、あの感覚をきれいに思い出して、勝手に体を蕩かしてしまう。

「……」

恐る恐ると振り返って、カイトはがくぽを見た。

そうまじまじ見てはいけないとは思うが、視線がいくのはどうしても、これから体に押し入るものだ――

「…………あのね、がくぽ………」

「ああ」

反り返るものを正視できないものの、完全に視線も逸らせないまま、カイトは微妙な視線を移ろわせる。

きれいに裸になったがくぽが伸し掛かって来て、俯せていた体が返された。正対する形になって、カイトは瞳を揺らす。

「………それ、ほんとに、はいる………?」

「……」

問いに、がくぽは思わず自分の下半身を見る。

それから、瞳を揺らすカイトへと視線を戻した。

「………この間は、入ったろう?」

「そ………なんだけど」

「それ以降、形を弄ったわけでもなし………大きさは変わらぬ。この間入った以上、今日も入る」

「……」

がくぽの答えに、カイトはこくんと唾液を飲みこむ。

そのカイトをやわらかに見下ろし、がくぽはこめかみにキスを落とした。

「怖くなったか?」

やさしく訊かれて、カイトは手を伸ばす。がくぽの背を軽く掻くようにして手を回すと、わずかに身を起こして、肩に顔を埋めた。

「…………こわ、く…なったんじゃ、なくって………………思ってたより、おっきーから………い、今まで、お風呂入っても………まともに、見たこと、なかったし…………この間も、ちゃんと、見なかったし………っ」

言いながら、カイトはがくぽの肩に軽く牙を立てる。びく、と揺れた体にしがみついて、膝を立てた。腰を挟んで、招くように引き寄せる。

「なんか…………………おっきーって…………やっとわかって……」

「カイト……」

「それ、おなかのなか、はいるんだーって………」

「……」

知識がないカイトがこぼす言葉は、どこまでも無邪気だ。無邪気なのだが。

がくぽは微妙にがっくりと項垂れた。

煽られる。

無邪気で愛らしいのに、どうしようもなく煽られる。

今すぐにも暴走して乱暴に掻き回し、「入る」ことを証明しそうだ。

「がくぽ?」

「入れてもいいか?」

「うん?」

がっくり項垂れるがくぽに、カイトは首を傾げる。訊かれて、頷いた。

そもそもは、自分が入れてくれと強請ったのだ。思っていたより大きいものが入っていたことにはびっくりしたが、それが前回、自分を気持ちよくしたことも覚えている。

カイトはがくぽにきゅうっとしがみつき、すりついた。

「いれて………」

「…………そう煽ってくれるな……」

「ん?」

がくぽの慨嘆が聞き取れず、カイトはわずかに体を離す。

苦笑したがくぽは、反り返る自分のものを掴むと、窄まりに宛がった。熱の感触に反射的に竦むカイトに、やさしくキスを落とす。

「大丈夫だ」

「ん………っ」

それでもなおも硬いままの体に、がくぽは何度も何度もキスを落とした。やがてカイトの体がほどけると、その瞬間に腰を押しこむ。

「ぁ……っ」

「いい子だな……」

「ふ……っ」

本当ならゆっくりと押し進めたほうがいいが、がくぽはわざと一気に押しこんだ。下手に考えさせると、カイトはまた要らぬことを言って、こちらの理性が焼き切れそうだ。

そうでなくても、がくぽだとて経験豊富なわけではない――ただ、デフォルトの知識とスキルが充実しているだけなのだ。

理性は常に焼け落ち寸前で、それを「猟奇」と称された忍耐強さで補っているだけだ。

「ぁ………っあ………っ」

「入ったろう?」

きつくしがみつくカイトに、がくぽはささやく。少し考え、しがみつくカイトの手を引き離した。体を起こす。

「見せてやろう」

「え……っわ?!」

離れた体を追おうとしたカイトは、膝立ちになったがくぽにそのまま下半身を持ち上げられ、瞳を見開いた。

慌てて畳に爪を立て、がくぽを見上げる。

「ほら」

「え……」

「ここだ」

「………っ」

花色の瞳を見つめれば、違うと首を振られて、視線で誘導された。

持ち上げられて折り曲げられた体の、がくぽと繋がっている場所。

「ぁ……っ」

普段から見ることなどない場所だ。うすらぼんやりとどんな場所か理解はしていても、こうまでまざまざと見ることはない。

そこがしかも、がくぽのものを飲みこんで、大きく広がって目の前にある。

これでもかと広げられているのに、そこはまだ、ひくひくと引きつって、がくぽに絡みつくようだ。

「………っ」

これ以上などない、と思ったのに、カイトはさらに赤く染まり上がって、交合部分を見つめた。恥ずかしいのに、目が離せない。

「入っているだろう?」

「ぅ……っ」

あっさりと訊かれて、カイトはびくりと竦んだ。竦んだ瞬間に、入っているものを締めつけて、なおのことその形を感じる。

見た目でも大きいと思ったが、締めつけても大きいし――硬い。

がくぽはカイトに見せたまま、ゆっくりと腰を抜いた。襞がうねり、濡れたがくぽのものがゆっくりと抜けていくのがつぶさに見える。

さっきまで、正視できずにいたそれが、より、近いところで。

「は……っぁ………っ」

「こうして……」

言いながら、がくぽはぎりぎりまで抜き、またゆっくりと中に押し戻した。

「ぁ…っあ……っ」

戻ってくる圧迫感と、確かに飲みこんでいく自分のそこ。

「きちんと、入る」

「ぅ……っ」

わかりやすく見せるためか、がくぽは根本まで押しこまない。半ばまで埋めたところで、軽く腰を揺すった。

「ゃ……っぁあ………っ」

揺すられるたびに、襞がうねるのがわかる。

カイトはぐすりと洟を啜ると、ぎゅっと目を閉じた。

「わ、……わかった……っもぉ、わかったから………っがくぽ………っ」

目を閉じたまま、手を伸ばす。しがみつきたいのだと示すと、がくぽはようやく下半身を下ろし、身を屈めた。

その体にしがみついて、カイトは頭をすりつかせた。

がくぽは不自由な体のまま、ゆっくりと腰を動かした。徐々に馴染む場所が、緩やかにほどけてがくぽを押し包む。

「ぁ………っや………っあ………っが、くぽ………っ」

「ああ」

激しく追い上げられれば、訳が分からないままに、気持ちいいだけで終わる。

なのにがくぽは、殊更にゆっくりと感覚を追い上げるから、自分がどんなふうにがくぽを飲みこんで、締めつけているかに意識が行ってしまう。

卑猥に広がった、場所。

がくぽの形に広がって、抜けようとするものを未練がましく追って、押しこまれるものをひくついて受け入れていた。

さっき見た光景がまざまざ浮かんで、さらに羞恥が募る。

「が、くぽ………もっと………もっと、はやく………つよく、して………っ」

「ん……」

涙声のカイトのおねだりに、がくぽはわずかに考える間を開けた。

ややして、赤い耳朶にくちびるを寄せ、軽く食む。

「………気持ち良くないか?」

問われて、カイトはふるふると首を振った。

「きもち、い………きもち、い……から……っだから………っ」

「そうか」

頷き、がくぽはカイトの腰を抱え直した。ぐ、と押しこみ、中で揺らす。

「では、しばらくこのままでいいな。気持ちよさを堪能させてやるゆえ、カイト。存分に味わえ」

「……」

すぐにはがくぽの言葉の意味がわからず、カイトは首を傾げる。

しばらくこのまま――このまま。堪能させてやる。

「……っぅ、そぉっっ?!!」

がくぽの言葉の意味を悟り、カイトは瞳を見開いた。

――がくぽは「猟奇」と称される忍耐の持ち主だ。経験不足もなにもかも、その忍耐だけで補ってきた、まさに「猟奇」な性質の持ち主だった。

「ゃ、うそ、がくぽ………っそんな、むり………っほんとにとけちゃうぅ……っっ!!」

悲鳴を上げるカイトに、がくぽは笑った。

「大丈夫だ。溶けないように加減してやる」

「うそ、むり、むり………っぉねが………っっ!!」

悲鳴を上げるカイトの声が、甘く溶ける。言ったとおりに緩やかに掻き回され続け、全身がぐずぐずに崩れていく。

気持ちいい、がしっかり体に沁み渡ったところで、ようやくがくぽはカイトの腹に熱を放った。