Pop goes the weasel-02-

カイトの体をベッドに放り出し、がくぽはその上に伸し掛かった。

「カイト、どうした」

「ん……っ」

覗きこめば、いつもよりさらに茫洋とけぶる瞳が、堪えきれない色を浮かべてがくぽを見返す。

「したいです…………ね、旦那様……………しましょう?」

「カイト…」

だからいったい、なにに煽られての突然のこの痴態。

戸惑うがくぽの股間に、カイトの手が伸びる。やわらかく撫でさすられ、形を辿るように探る指。

「お願いですから………」

「…」

がくぽは舌舐めずりして、熱っぽく訴えるカイトを見下ろした。

理由はどうあれ、奥さんが発情していることは確かだ。

そして、発情した奥さんに煽られないほど、冷めてもいない。

がくぽは体を起こすと、カイトの顔の傍に座った。乱れた髪を軽く梳いてやって、意地悪く微笑む。

「カイト。そなたから『したい』ときは、どうするのだった教えてやったろう?」

「ん………がくぽ………っ」

一瞬責めるように名を呼び、しかしカイトは頬を染めて身を反した。

がくぽの股間へと顔をすり寄せると、上目使いに見上げる。

「旦那様の……………俺に舐めさせてください…………」

吐き出されたおねだりに、がくぽは瞳を細める。カイトの髪をやさしく梳いてやり、頷いた。

「いい子だ。しゃぶりたいのだな?」

「ん……………はぃ………」

野卑な問いにも、カイトは素直に頷く。

浴衣の袷に手を滑りこませると、中から熱くなりだしているがくぽのものを取り出した。

「んく………」

「…っ」

カイトは舌を伸ばすと、躊躇いもなく口に含む。

熱くぬめったものに押し包まれる感触に、がくぽは瞬時瞳を細めた。自分の股間に顔を埋めるカイトの髪を、やわらかに梳いてやる。

教えたままにがくぽのものを口に咥えたカイトは、そのまま熱心に舌を這わせ、吸い上げた。

「ん…………んぷ…………っふぁ」

陶然として、カイトはがくぽのものをしゃぶる。熱心な愛撫に、がくぽはくちびるを舐めた。

教えたのはがくぽで、だからカイトは、どうすればがくぽが悦ぶか、すべて知っている。

それでも、普段はここまで我を忘れて、熱心に咥えることはない。

どこかしら恥じらい、どこかしら慄いて。

「ふぁ…………んん…………っ」

自分の愛撫に応えて大きく硬くなっていくものに、カイトは熱っぽく微笑む。さらに熱心に舐め啜り、添えた手で擦り上げ、懸命にがくぽを煽った。

「カイト………」

「ぁふ………っ」

がくぽの手が、ずっと頭を撫でている。

「したいときは其方から奉仕しろ」と意地悪なことを言う旦那様だが、カイトがしている間ずっと、やさしく撫でていてくれる。

呼ぶ声は、育っているものから想像がつかないほどに穏やかで、ほんとうに感じているのか怪しく思うこともある。

けれど見上げれば、余裕もなくしかめられた顔がそこにあって。

「…………っ旦那様…ぁ………」

「どうした?」

唾液と先走りとが混じった糸を引きながら顔を上げたカイトに、がくぽはやさしく訊く。

カイトは瞳を潤ませて、濡れそぼったくちびるを舐めた。

「……も、出来ません………」

「ああ」

掠れた声で訴えたカイトに、がくぽは頷く。意地悪なことを言っても、カイトが音を上げるとすぐにも引く旦那様だ。

無理はしなくていい、と告げようとしたがくぽの前で、身を起こしたカイトは、自分の下半身へと手を伸ばした。

乱れた浴衣の袷をさらに開くと、立てた足の奥を晒すように広げる。触れてもいないはずなのに、勃ち上がって雫を浮かべるものを素通りし、さらに奥へと手が入っていく。

カイトの手は躊躇いもなくそこに至り、いつもがくぽを受け入れる場所へと指を潜らせた。

「ん………っ」

「カイト?!」

「ぁ、がくぽ………っ」

驚愕に固まるがくぽの前で、カイトは潜りこませた指を、緩やかに抜き差しする。

一本はすぐに二本に増え、誘うように蠢く中を広げて見せた。

「ここ、欲しいです……………がくぽの、それ…………入れて欲しくて、我慢出来ません………」

「……カイト」

がくぽの咽喉が大きく動くのが見える。カイトは広げたそこに再び指を入れ、自分で掻き混ぜた。

「ぁ………んぅ………っ」

鼻に抜ける甘い声で啼いて、カイトは潤む瞳で、舌なめずりする旦那様を見つめた。

「ゆび、じゃ、足りません…………ね、お願いです………旦那様の、おっきぃの、俺のここに、入れてください………」

はしたないおねだりに、がくぽは笑う。

したいなら、と言って教えても、自分からここまですることは、あまりない。いつでも、ここまで恥ずかしい振る舞いをさせる旦那様を恨むような、責める色を浮かべているのに。

「これが欲しいか、カイト」

「ぁ………っ」

硬く勃ち上がった自分のものを手に持って示すと、カイトは震えた。

隠しきれない欲を浮かべた顔で、がくぽが手に持ったものを見つめる。

「そなたのそこに………これを入れて欲しいか?」

「ぁ………はぃ………」

カイトは素直に頷き、くちびるを舐める。入れたままの指が、窄まりを押し広げた。

「入れてください………掻き混ぜて、おなかの中に……いっぱい、出してください………」

「っ」

「あぅっ」

堪えきれず、がくぽはカイトの体をベッドに倒す。伸し掛かると、解されたそこに、熱く硬くなったものを宛がった。

「入れるぞ」

「んぅ………っ」

口早に言い、がくぽは誘うように蠢くそこに、自分を押しこんだ。

受け入れる場所が、いつも以上に熱く、やわらかい。それでいながら、貪欲に吸い付いてくる。

「く………っ」

そうでなくとも、奥さんの媚態で限界まで煽られている。歯を食いしばって堪えないと、すぐにも達しそうだ。

苦しい表情のがくぽに、カイトは手を伸ばす。背中に回された手が、先を促すように軽く爪を立てた。

「がくぽ………っ」

膝が腰を挟み、受け入れた場所が締まる。カイトはがくぽの背を掻いて、くちびるを舐めた。

「いっぱい擦って……」

「この……っ」

どこまでひとのことを煽る気なのか。

突き抜けて腹立たしくなり、がくぽは加減もせずに激しく腰を使った。

「ゃ、ぁあっ、っくぽ、ぁあっ、ひぁあっ」

「カイト……っ」

カイトは震えながら、がくぽの背に爪を立てる。

仰け反って晒された咽喉に誘われて、がくぽは牙を立てた。そのまま歯で辿って浴衣を肌蹴ると、天を向いて小さく尖っている胸の先端に吸い付く。

「んゃぁあっ」

一際かん高い声を上げて、カイトは胸に吸い付くがくぽの髪を引っ張る。

「ぁ、あ、そこ、だめ………っです………ぁ、がくぽ、がくぽ………っひぃうっっ」

引き離そうと髪を引くカイトに構わず、がくぽは小さく尖る胸に、きつく歯を立てた。

走ったのは紛れもなく痛みのはずだが、カイトはがくぽを締め上げて、達していた。

呆然と震える体を、がくぽは斟酌することなく攻める。

「っくぽ……っ」

「俺は達っておらんだろうが」

「んぅうっ、ひぅ………っ」

わざと責めるようにささやいてやると、カイトは涙を散らして、力の抜けた腕を持ち上げる。がくぽの背に回すとしがみつき、自分でも腰を振った。

「いいぞ…」

「ふぁ………っ旦那様ぁ………っ」

褒められて、カイトの中が締まる。誘う動きに、がくぽは顔を歪めた。

「達くぞ」

「ん、ぁ、なか………にっ………なかに……っ」

「ああ、中に注いでやる。たっぷりとな」

「ふぁあ………っ」

望まれるままに、がくぽは奥深くへと自分を押しこむ。そこで幾度か揺らすと、精を放った。

「ひぁあ…………っ」

腹が灼ける感覚に、カイトは瞳を見開いた。精を吐き出すことなく、感覚だけが達してしまう。

「ふ…………っく…………っ」

単純に精を吐き出すより長く辛い絶頂感に震えるカイトに、がくぽが沈みこんで来る。肩口に顔を埋め、そのまま肌に咬みついた。

「ゃ…………っ」

治まらない絶頂の中で新たに与えられる刺激に、カイトは悲鳴を上げる。

責めるように立てられた爪に、がくぽは怠い体を起こした。

「………よしよし」

「んくぅ………っ」

宥めるように頭を撫でられるのも、逆効果だ。

涙をこぼすカイトの目尻を舐めて、がくぽはとりあえず腰を引いた。入れたままでは、治まるものも治まるまい。

しかし、抜き切る前に止まる。

「………カイト」

「ぅく………っ」

震えながらも、カイトの足が懸命にがくぽの体を挟んでいる。痛いくらいに押さえつけて、出て行くことを阻害する。

困惑して見下ろすがくぽに、カイトは戦慄くくちびるを開いた。

「抜いたら、ゃです…………」

「……」

「抜かないで………」

甘いさえずりに、がくぽはくちびるを舐めた。

泣き濡れる奥さんを見下ろし、一度は抜きかけた己を押しこみ直す。

「ぅあ………っ」

「まだ足らぬか」

引きつる体に沈みこみ、耳朶にくちびるを這わせながら訊く。

「まだ欲しいのか?」

「…っぁく………がくぽ………っ」

震えながら、カイトは頷いた。腰を挟む足に、力が篭もる。

「ほし………です………まだ、もっと………」

「……」

「んぁっ」

がくぽは小さく笑い、カイトの耳朶に咬みついた。やわらかいそこを舐めしゃぶり、歯で挟んで引っ張る。

「っぁ、あぅ、がく……っ」

「そなたが満足するまで、幾度でも呉れてやろう」

「っく、ぁ………っ」

震える体を押さえつけると、がくぽは再び腰を使い始めた。