「それはそれとして、兄様」

「あれ?」

微妙に笑顔が怖くなった弟に、カイトは笑顔で凍りついた。

なんだろう、怒っている?

うちのおとーとは、ちょっとズレてます→

相変わらず伸し掛かったままのがくぽは、カイトの肩を掴む手に、ぐ、と力を込めた。

「ゃ、いた、がくぽ………っ」

がくぽの力は強い。いつもは力加減してくれるのに、今はなぜか、痛めつけようとばかりに力を入れている。

身を竦めたカイトに、がくぽは顔を寄せた。

「がくぽの心はもっと痛かったですよ、兄様……」

「が……んん…っ」

声を上げようとしたカイトのくちびるを、がくぽは塞ぐ。唾液とともに舌が押しこまれ、逃げを打つカイトの舌を追った。

「ん……っんんぅ………っ」

「………がくぽがこういうことをするのは、兄様だけです」

「ん……?」

わずかにくちびるを離して、がくぽはつぶやく。低く這う声は、滅多にないほどの怒りに潰れている。

カイトは弟を見上げて、瞳を揺らした。

「ほかの誰とも、こんなキスしません。兄様とだけです。女の子なんて要りません、兄様だけいればいい」

「がくぽ……」

きっぱりと吐き出されて、カイトはくちびるを空転させる。

そうは言うけれど、カイトはがくぽの兄だ。

兄というものは本来、こういう相手に選ぶものではない。

言い淀むカイトに、がくぽはにっこりと笑った。不動明王よりよほど恐ろしい顔で。

「兄様もです。がくぽ以外の誰かと、こんなキスすることは赦しません。兄様がキスしていいのはがくぽだけです。こうやって、口の中まで舐めていいのは、がくぽだけ」

「ん……っ」

言いながら、がくぽは再びカイトに口づける。乱暴に漁られて、きつく吸い上げられ、カイトはぎゅっと瞼を閉じた。

がくぽの怒りはわからない。

わからないけれど、そうやって感覚を煽られれば、どうしても馴らされた下半身が疼く。

もぞつくカイトの腰に、がくぽは手を伸ばした。素早くスラックスと下着を抜き去り、肌を晒させる。

「ぁ……っ」

「がくぽが舐めるのは、兄様のものだけです。女の子のなんて、舐めません。兄様のだけ………」

「んん……っひぁあ………っ」

がくぽのくちびるが、熱を覚え出したカイトのものを含む。べろりと舐めて唾液に塗れさせ、震えて反り返るものを丹念に咥える。

「兄様………兄様が舐めさせていいのも、がくぽだけです………ここを女の子に舐めさせたりしたら、絶対にぜったいに赦しません………っ」

「ゃ、いたぁ………っ」

言い募りながら怒りに駆られたがくぽが、きつく根元を押さえる。捻り潰されそうな感覚に、カイトは涙目で仰け反った。

懸命に手を伸ばし、がくぽの髪を引っ張る。

「ゃ、しない………おんなのことなんて、しないからぁ…………っがくぽだけ、がくぽとだけ、だから………っ」

震えて泣くカイトのものを、がくぽは咽喉奥まで咥えこむ。そうかと思えば先端を割り開くように舌を差しこんで舐め啜り、添えた手で竿を扱く。

「は……ふぁあ………っが、くぽ………っも、イっちゃぅう………でちゃう………っ」

「ん……」

「ひぁあっ」

髪を引っ張ったカイトに、がくぽはさらに顔を沈めた。水音を立てて啜り上げ、誘うように舌を押し入れる。

堪えることを教えられなかった体は素直に、咥えるがくぽの口へと精を吐き出した。

「ん……んく……」

「ぁ……っは………っぐすっ」

余韻に震えながら、カイトは洟を啜る。がくぽの顔が見られない。

こくりこくりと、飲みこむ音が聞こえるのがいたたまれない。なにを飲みこんでいるといって、ナニしかない。

弟の口になど出したくないのに、がくぽは必ずきつく吸いついて、吐き出すものを飲み下す。

手で顔を覆って震える兄を見下ろし、がくぽは粘つくくちびるをちろりと舐めた。

「がくぽがこうやって、精液を飲むのも、兄様のだけですからね」

「………ひっく」

そこは飲まなくていい。

と、言いたいが、どうも今の弟にそれを言うと、もっとひどい目に遭わされそうな予感がする。

「ここもですよ、兄様」

「ひぁっ」

口を噤むカイトに構わず、がくぽはひくつく窄まりを撫でる。わざと爪を立てて引っ掻くようにしながら指を差しこみ、襞を押し広げた。

「ここも、がくぽ以外の誰かを咥えたりしたら、絶対赦しませんからね」

言われて想像し、カイトは震え上がった。

がくぽ以外の誰かのものが、自分の腹に押し入る――

「っ、ゃだっ、がくぽ………っがくぽ以外のひとなんて、いやぁ………っ」

ぼろっと涙をこぼして悲鳴を上げるカイトに、がくぽはわずかに満足そうにくちびるを舐めた。

ひくつく場所を丹念に探ってから、指を抜く。着物の前をくつろげると、熱く反り返る自分を取り出した。

「兄様、舐めてください」

「ん……っ」

にじり上がってカイトの顔の前に下半身を差し出し、がくぽは尊大に命じる。

半ば無理やり口に押しこまれても、カイトは素直に受け入れた。

「ん………んく………っ」

熱を持つものを懸命に咥えて、啜る。がくぽの腰にしがみつく指が、苦しさに爪を立てた。

構うことなく押しこんで、がくぽはカイトの頭をやわらかに撫でる。

「兄様の上の口も下の口も、咥えるのはがくぽだけです。食べてもいいのは、がくぽのだけ。兄様をこうやってもいいのは、がくぽだけ。わかってますか?」

「ん………んん………っ」

咽喉奥まで押しこまれて、カイトはひたすら苦しい。それでもなんとか、こくりと頷いた。

懸命に歯を立てないようにとするカイトから、がくぽは濡れそぼったものを抜く。

「ふぁ……っ」

「がくぽが、がくぽのものを食べさせてあげるのも、兄様だけ……女の子になんて、食べさせてあげないんです」

「ぁ………っ」

うたうように言いながら、がくぽは再びカイトの下半身へと移動した。ひくつきながら投げ出されている下半身を、高く持ち上げる。

そのまま、上から押しこむように、がくぽのものが入ってくる。咥える様がつぶさに目に入る角度に、カイトはふわっと赤くなった。

がくぽはうっすらと笑って、そんな兄を見下ろす。

「見えるでしょう、兄様………兄様のお尻、こうやって、がくぽの食べるんです………おいしいおいしいって、ひくひくして。これ、兄様だけのですからね。がくぽは兄様以外のひとになんて、絶対食べさせません」

「ぁう……っ」

押しこまれて、腹がきゅうっと締まる。締まることで余計にがくぽの形を感じて、カイトは震えた。

自分は兄で、がくぽは弟だ。

これが、自分だけに与えられるものであっていいわけがない、のに――

「こうやって、兄様のお尻掻き回していいのも……」

いつもは馴染むまで動くのを控えるがくぽだが、今日は待つことなく動き出した。そのうえ、力加減することなく、勢いよく腰を打ちこむ。

上からきつく抉られて、カイトはぼろりと涙をこぼした。

「ゃ、ぁあっ、ふぁ……っが、くぽっ………は、げしっぁ、はやぃ……っゃ、こわれちゃ………っそんなしたら、おにぃちゃ、こわれちゃ………っ」

上げる声は悲鳴のようだが、そこには隠しようもなく甘さが見える。

がくぽは加減もせずに自分を打ちこんだが、カイトが気持ちよくなるポイントはポイントで、きっちり攻めているのだ。

痛いくらいに抉られて、割り広げられ、押しこまれる。

カイトは首を振って、ソファに爪を立てた。

「が、くぽ……っぉねが………っぁ、はやぃ、い………っだめぇ……っ」

「兄様以外の女の子にこういうことして来いって言われて、がくぽはすっごく傷つきました」

正確には、そこまでは言っていない。

デートをしておいで、と言ったカイトは、そこまで考えていたわけではなかった。

考えていたのはごく普通に健全な、いわゆる「お子様デート」だ。

がくぽの年でそれもどうなのかとか、そこまでは考えないのが、この兄の甘さだ。

そして甘さが招く、現状。

「いゃあっ、がく………っねが、もぉ………っこわれちゃぅう……っ」

「いやじゃないです」

懇願するカイトに、がくぽはさらにきつく腰を押しこむ。

「兄様はがくぽだけのものです。こうやっていいのはがくぽだけ。こうやって泣かせて、いじめていいのはがくぽだけ。わかってますか?!」

「っぁあ……っ」

ぼろぼろと涙をこぼしながら仰け反り、カイトはこくこくと首を振って頷いた。

「ん、おにぃちゃ、は……がくぽだけの、おにぃちゃん………っ、がくぽとだけ………だから………っ」

懸命に言葉をこぼすカイトを、がくぽは容赦なく攻め立てる。過ぎる快楽に泣き叫ぶ体を押さえこみ、その奥に精を吐き出した。

「…………がくぽの精液は、兄様だけのですよ」

「…………っ、ふく………っ」

腹を灼かれながらささやかれ、カイトは震える。

がくぽは戦慄くカイトのくちびるにキスを落とし、強張る舌を吸った。

「兄様はがくぽだけのものです。そして、がくぽは兄様だけのものです。がくぽに触ってもいいのは兄様だけ。がくぽがこうやって抱くのも、兄様だけです。絶対、ぜったいに」

「………」

震える体を掻き抱き、がくぽはつぶやく。

「兄様以外なんて、いりません」

「ん………っ」

力加減なく抱きしめられ、腰を押しこまれ、カイトはぐすりと洟を啜る。

自分は兄で、がくぽは弟――

「兄様」

――うれしい

ぽつりとこぼれたカイトのつぶやきに、がくぽはようやく表情を緩めた。