にぎしにぎにぎしににぎ

ふと思いつき、がくぽは傍らに座るカイトへ手を伸ばした。自らも顔を寄せつつ、夫相手に抵抗を知らないおよめさまの頭を抱いて招くと、やわらかな耳朶にくちびるを当てる。

「んっ、ふゎっ?!」

「カイト、……………」

くすぐったさに奇矯な声を上げたカイトに構わず、がくぽは触れ合わせたくちびるから言葉を吹きこむ。

「んっ、んん……っ、んっんっ………んっ、ぷふっ!!」

初めはひたすらくすぐったいと悶えていたカイトだが、構いもせずに吹きこまれるがくぽの言葉を聞くうち、ついに笑いほどけた。

「も、もっ、がくぽさまっぷふふっぅぷっ、ぁっはっ!」

「どうだ」

言うべきを言い切って離れたがくぽが浮かべるのは、妙に幼なじみた得意顔だ。言っては難だが、ひどく無邪気で愛らしい。

そんな稚気溢れる優越を晒す夫を、カイトは堪えても堪えても堪えきれない笑いにぷるぷる震えつつ、目尻に笑い涙まで浮かべて睨んだ。

「カイト。どうだ」

そんなカイトに、がくぽは先の問いをくり返す。答えを催促する態度だ。

「んっ、ん………そうですねえ……」

カイトは未だ笑いを堪えてぷるぷる震えながら、考えをまとめるように軽く上目となった。

すぐに視線を戻すと、愉しげに応えを待つ夫へ会心の笑みを向ける。

「じゃあ、こんなの、とか?」

期待と興奮にはちきれそうな、夫に負けず劣らずの無邪気な風情で、カイトはがくぽの耳朶にくちびるを寄せた。