甘やかしたがりさんホットケーキ加糖版

「ん!」

食器洗いを終わらせたカイトが、満足そうな笑顔で振り返った。

すべての家事が終わった瞬間に閃かせる、この少し得意そうな笑顔は妙に子供っぽく、俺まで笑みを釣られてしまう。

「終わったか」

わかっていても訊いた俺に顔を向け、カイトは笑みに、はにかむ色を混ぜた。

「うん、終わった。がくぽは?」

「俺は疾うに」

答えながら、カイトに歩み寄る。腰を抱き寄せると、カイトはそれだけで頬を赤く染めた。

腰を抱くくらいのこと、今さら――という関係のはずなのだが、カイトは未だ慣れずに恥じらう。その様は喩えようもなく、こちらの劣情を煽ってくれる。

とはいえ連日サカっているようでは、カイトの身が持たない。

こみ上げた想いは堪えて、俺はそのままカイトを抱き上げた。

「がくぽ?」

「昼まで間がある。少し休むだろう?」

「ん、休む、けど……」

戸惑う声で言いながら、カイトは俺の首に腕を回す。

初めは『恥ずかしい』だのなんだのと、抵抗していたカイトだ。それがようやく最近になって、こうして素直に――

改めて想いが募ったものの、ぐ、と堪えた。

「………………それで、なんで、膝抱っこ………?」

リビングに運んだカイトを、ただソファに下ろすのではなく、ソファに座った俺の膝に下ろした。

困ったように訊くカイトに、俺はにんまりと笑ってみせる。

「おまえは膝に乗せているときが、いちばんかわいい」

言うと、瞬間的に瞳を見開いたカイトは、耳からうなじから真っ赤に染まって俯いた。

首に回したままだった手に力が入り、ぎゅ、としがみつかれる。

ばか…………」

ばかはどちらだ…………――!

膝に乗せていなくてもかわいいだろうとか、もっとかわいいときがあるだろうとか、いくらでも反論があるはずだというのに。

真っ赤になって俯いて、消え入りそうな声で、その一言。

「すまん、カイト」

「えあ、ちょ、がくぽ……?!」

「昼飯とマスターのおやつは俺が作る。あと買い物にも行ってやるから」

「がく…………!!」

早口で言いながら、俺はカイトをソファに押し倒した。