ピーナツバタートーストのチョコフォンデュ

「ぃやぁっぁくぽ、もぉいやぁ……っぃたいよぉっ、くるしい………っぁくぽぉっ、ぉねが……っ」

「大人しくしていろ、かいちょじっとしていればすぐ終わる暴れたほうが辛いと、いつも言っているだろう?!」

「ぃやっ、ぃやぁっ!!もぉおわりぃっぁくぽぉっ、けほっけほほっ、にが………っっふ、びぇえっ……」

「かいちょ………っ」

狭いバスルームにきんきんとかん高く、耳を傷めるようなかいちょの悲鳴が響く。

小さな体を押さえこんだがくぽは、厳しく眉をひそめた。

毎日まいにちまいにちまいにち――

「きちんと泡を流さねば、風呂から上がれぬだろういいから目を閉じて口も閉じろ。そうすれば目にも口にも泡が入らず、苦くも痛くもないから!」

――体を洗うのは難なく済むのだが、問題は頭だ。

シャンプーは大人しくされるが、いざそのシャンプーを落とそうと頭からシャワーを浴びせかけると、いつもいつも大騒動に発展する。

目を閉じて俯いていればすぐ終わると言い聞かせても、かいちょが大人しく言うがままになっていたことがない。

必ず最初に目を開いて、泡が入って痛いと泣き喚き、さらに滝打つシャワーに呼吸困難を起こして、苦しいのニガイのと、暴れ出す。

「ぇ、ふぇっ、ぐすすっっ…………びぇええ…………っぁく、ぁくぽ………っ」

「まったく………」

暴れる体を強引に押さえてなんとか泡を流し切ると、がくぽはぐったりと疲れ果てて壁に凭れた。

かいちょが泣きながらしがみついてくるが、泣きたいのはがくぽのほうだ。

毎日まいにちまいにちまいにち、かいちょの悲痛な泣き声を聞く身になってほしい。そんなふうに泣かせたいわけではないのに、毎日まいにちまいにちまいにち――

「ぁくぽ、ぁくぽ………っまら、目ぇいたいの………っおくち、にがにがなの………っ」

「ああ…………よしよし」

甘えられて、がくぽはとりあえず、頭を切り替えた。

億劫な体を起こすと舌を伸ばし、ぼろぼろと涙をこぼすかいちょの目を舐めてやる。本当ならシャワーを使いたいが、ここで顔に水をかけると、再び泣き喚く。

何度も何度も舐めてやって、かいちょが落ち着いたのを見計らうと、がくぽは蛇口から水を出し、両手に掬って差し出した。

「ほら、かいちょ。口を漱げ。ぐちゅぐちゅ、ぺーっだ」

「んちゅんちゅ…………ぺーっ」

「もう一度――」

何度か漱がせると、かいちょはようやくいつもの愛らしい笑顔を取り戻した。

きらきら輝く笑みでがくぽを振り仰ぎ、べったりと抱きつく。

けれど泣いた証に、その瞳は赤く、顔も少し腫れぼったい。

小さな体を抱き返しつつ、がくぽは悩ましく眉をひそめた。