「かーいーちょーっかぁああぃちょぉおおおお!!」

キス×スキ×キス

「ん……」

呼ぶ声が、だんだん激しさを増す。カイトはわずかに瞳を開き、けれどすぐに伏せると、目の前に集中し直した。

首に回した腕に力を込めて、さらに深くくちびるを合わせる。

「ん……んちゅ……」

「カイト……」

「ん……がくぽ…」

呼ばれて、痺れて覚束ない舌で応えた。

人が滅多に来ない、第二校舎の裏庭の、さらに植込みの陰だ。授業を抜け出したがくぽが気に入って使っている隠れ場所で、これまで誰かに見つかったことはない。

立ち上がるか、余程大きな音を立てるか――そうしなければ、人の視界に入らない、絶好の隠れ場所。

これまでの経験上、そこはよくわかっているから、カイトは遠慮なく、がくぽに擦りつく。

「もぉおおおおおっ、かぃちょぉおおおおおおお!!!」

カイトを呼ぶ声が響く。ほとんど泣き声にも近い。

瞳を悩ましく潤ませるカイトを膝に乗せたがくぽは、わずかに躊躇う顔になった。その顔に、カイトが近づく。

ちゅ、とキスされて、舌が伸びた。やわらかに舐められて、がくぽはカイトの後頭部へと手を回す。

「もっと……」

「ああ」

甘く強請られるままに、キスをくり返す。膝に乗せた体をきつく抱きしめて、舌を絡ませた。

「ん………んふぅ………ぁ………」

「カイト………」

「かぁああああああぃいいいいいいいいちょぉおおおおおおおお!!!!」

叫び声がこだまするが、近づいては来ない。明後日なところを彷徨うだけだ。

「………いいのか、『生徒会長』?」

「ん…」

一応訊いたがくぽを、カイトはとろんと蕩けた瞳で睨んで来た。

「………だって、がくぽと、……キス……したい………」

「……」

その言葉が、聞きたかっただけだ。

がくぽは満足そうに笑うと、カイトに口づけた。