執務室に見当たらないと思えば、プライヴェート・エリアでおくつろぎ中だった。
大きな寝台に俯せで横たわり、無邪気に足をぶらつかせるオラクルを発見して、オラトリオはため息をついた。
バーバラ・クロイツ
「姐さん女房は、金のわらじを履いて探せったぁ言うけどよ」
「ん?なんだ、それ」
わずかにベッドから顔を上げたオラクルの傍らに座り、オラトリオはきれいに撫でつけられたダーティブロンドを掻き回す。
「見つけた女房が、これだもんなあ」
「……………なにが言いたい」
オラトリオがなにを言っているかさっぱりわからなくても、なにかしらばかにされていることはわかるのだろう。
瞳を尖らせて体を起こしたオラクルに、オラトリオは肩を竦めた。
ふいに手を伸ばすと、投げ出されたオラクルの足を掴む。
「わ?!」
片足を高く掲げられて、オラクルは再びベッドに倒れ込んだ。
「オラトリオ!」
非難の声を無視し、オラトリオは掲げた足の甲に音高くキスを落とした。くちびるで辿り、骨ばった足首に歯を立てる。
「………オラトリオっ」
小さな悲鳴に、オラトリオは笑う。
「姐さんたぁ思えねえほど、おまえはかわいい」