ひなたぼっこが、すき。

そのひなたぼっこに、朔がいっしょにいたら、もっとすてき。

ひなたぼっこ

「――あのなあ、十六夜」

「うん」

ひざの上にだっこした朔が、ちょっぴりいやそうな声。

「こなたには俺がちっちゃくみえてるかもしれないがなあ。これでいて、立派な一家の稼ぎ頭でなあ、一人前の男なんだぞ」

「うん。ちっちゃいのにえらいよね、朔」

「…っ」

あたまをなでなでしたら、朔はがっくりとうなだれた。

俺だって、ちゃんとわかってるんだ。

朔がはたらいて、俺たちをやしなってくれてることとか。この家族のなかで、外と対等につきあえるのは、朔だけだとか。

ぜんぶ、わかってるけど。

でも、朔がちっちゃいのも、ほんとうだもの。

朔がほんとに「いちにんまえ」だったら、俺、ひざにのせたりできない。そんなに力もちじゃないからね。

ちっちゃい朔だから、俺はひざにのせるんだし、こうやって、ぎゅうってだきしめたいんだ。

「いまにみてろよ、十六夜…。俺の体が大きくなったら、おまえがどんだけ危機管理意識が足らないか思い知らせてやるからな…」

「うん」

「――ああもう…。わかってねえよなあ、十六夜…」

朔はためいき。

ごめんね。朔が子どもあつかいすきじゃないのも、知ってるんだ。

でも。

あとちょっとくらい。

朔のからだがおっきくなっちゃって、ほんとに身もこころも「いちにんまえ」になるまでは。

こうやって、あまえさせて。