Dingty Diddlety
ベッド上で正座し、膝に揃えて置かれたカイトの手には、クーラーのリモコンがきつく握りしめられていた。
「旦那様と、もっとちゃんと、くっついて寝たいんです」
「あー…カイト、」
「朝までずっと、ぴったり抱き合って寝ていたいです」
「うむ、否、カイト、」
「旦那様に一晩中、ぎゅうっと抱きしめられたままでないと、朝、気持ちよく起きられません」
がくぽに口を挟む隙を与えず、カイトは言い募る。必死だ。
他人からすればそれでも端然と見えるだろうが、がくぽにはわかる。
天女な奥さんが、かつてなく必死だ。必死でおねだりだ。
かわいい。
この一瞬で、軽く五、六回は昇天しそうなほど、かわいい。
しかしだ。
「まるで異論はない…望みは同じだ。同意しかない。が、カイト――だとしても、設定温度を十度台にまで下げるのは、さすがにやり過ぎだ……!」