カイトの顔が近づき、がくぽのくちびるに触れて離れる。

すがりつく指が着物を崩して、わずかに晒された肌に爪を立てた。

ひよどりをどり

「…………カイト」

「ん……」

がくぽに呼ばれて、カイトは茫洋と啼く。顔が近づき、くちびるに触れて離れた。

「…………そなた、数は数えておるか?」

「………かず………?」

陶然とした表情のまま、カイトは不思議そうに首を傾げる。

そもそもの発端は、がくぽの土産だ。

かわいらしい金平糖を持ち帰ったがくぽに、カイトはなにか『お礼』がしたいと言い出した。

それでがくぽが提案したのが、『金平糖ひとつにつき、口づけ三回』だ。

ほんの他愛ないお遊びのつもりで言ったそれに、カイトは照れながらも頷いて――

「………くぽさまぁ…」

「ん」

甘く啼きながら、カイトのくちびるが近づいて、軽く触れて離れる。

胸元に縋りついていた指が肌を辿り、首を掻いた。

「も……いや………したくないですか………?」

「そういうわけではない、が………」

「んく……」

陶然としたカイトのくちびるが近づき、触れて離れる。

もう何度目かもわからない、触れるだけの口づけ。

「カイト……」

「ん。だめ、です」

着物を肌蹴ようと伸ばしたがくぽの手が、絡め取られて握られる。

「俺がするんです………お礼なんだから」

「カイト……」

「ん……」

カイトは至極しあわせそうに、かわいらしい口づけを続ける。

がくぽは軽く天を仰いだ。

生殺しだ。

もっと別のものを強請ればよかった。

「ぇへ……」

しあわせそうに笑うカイトに、がくぽも力無く笑い返した。