カイトが顔を上げ、最後の残滓を飲みこむ咽喉が、こくりと動く。
濡れたくちびるを舐めたカイトの、興奮にほんのり染まった頬を撫で、がくぽは瞳を細めた。
「夢中になって食ろうておったな。美味かったか?」
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笑いを含んだがくぽの問いに、カイトは気恥ずかしげに瞳を伏せる。
頬を撫でる手にねこのようにすり寄ると、陶然とした笑みを浮かべた。
「はぃ………………おぃしかったです………………」
「っはは」
がくぽは声を立てて笑い、朱に染まるカイトの体を抱き寄せた。
「ほんに好きよな、そなた?」
からかうように言うと、カイトはますます赤く染まった。
瞳を潤ませて、わずかに責めるようにがくぽを見つめ、しかし結局は素直に頷く。
「はぃ……………だいすき……………」
熱っぽい言葉に、がくぽは瞳を細めた。
「そうも素直だと、好きなだけ食わせてやりたくなるな。どうする、おかわりするか?」
悪戯に訊かれて、カイトはちろりとくちびるを舐めた。赤く染まったまま、こっくりと頷く。
「はい…………もっと、ほしいです………」
強請ってから、カイトはわずかに愁眉となった。
「………………こんなおねだり、はしたないですか…………?」
憂う問いに、がくぽはにんまりと性悪に笑った。
「そなたはもう少しう、はしたなくて良い」
言って、潤んで輝くカイトの瞳にくちびるを寄せる。反射で閉じた瞼をべろりと舐めて、そのまま耳へと辿った。
「ん……っ」
赤い耳朶を含んで、がくぽは牙を立てる。
「もっと欲しがれ。はしたのう強請れ。そなたの望みなら、すべて叶えてやろうから」