ゆるとろパンプキンプディングメープルソース和え
ジャック・オー・ランターンを模した、お尻がぷっくり膨らんだ、かぼちゃパンツ。
同じ色で、裾がぎざぎざとなっているシフォンの短いスモックの背中には、小さなコウモリの羽。
頭には、フェルトで作られた曲がり角。
ついでに、短い髪のサイドをほんの少しだけつまんで、同じくフェルトで作られたコウモリの飾りのついたゴムで結んでいる。
完璧にハロウィン仕様となったかいちょは、託児室にやって来たがくぽへと、満面の笑みで駆け寄った。
「ぁくぽーっvvv」
「よしよし」
ぴょこんと飛びついてきた体を、がくぽは抱き上げてやる。
「あのね、ぁくぽ………『とぃっく・ぁ・とぃーと!』」
「ああ」
舌足らずに強請られて、がくぽは笑み崩れ、腰に下げていた巾着へと手を伸ばした。中にはハロウィン型で抜いた、手作りのかぼちゃクッキーが入っている。
事前に保育士からお菓子の用意を頼まれ、同じ託児室に通う仲の良い保護者たちと集まって、ハロウィンらしいお菓子を作って来たのだ。
「ほら、かいちょ」
「ありぁと、ぁくぽ!」
愛らしくラッピングした袋を渡すと、かいちょは満面の笑みとなって、がくぽの頬に音を立ててキスをした。
しかし、その笑顔は長くない。
かいちょは受け取ったクッキーの袋を弄びながら、上目遣いのおねだり顔になって、がくぽを見た。
「……どうした、かいちょ?」
首を傾げて訊いたがくぽに、かいちょは潰さない程度に、クッキーの袋を握りしめる。
「………えとね………おかし、もらうけど………いたじゅらもしたい………」
「………」
欲張りな言葉に、がくぽは花色の瞳を見張る。
かいちょは瞳の色をますます甘く蕩かせ、そんながくぽへ擦りついた。
「ね、ぁくぽ………かいちょ、いたじゅらしたい………ぁくぽに、いたじゅらしたいの……」
「………」
甘く強請られて、がくぽはかいちょと、かいちょの手の中のクッキーを見た。
おそらく、菓子も楽しみにはしていたが、悪戯についても楽しみにしていたに違いない。
保護者たちが集まって菓子作りを楽しんでいたように、かいちょも友達といっしょになって、あれやこれやと考えていたのだろう。
「………仕方ないな。少しだけだぞ」
「ありぁと、ぁくぽ!」
「っ」
声こそ重々しいものの、説教もなにもなくあっさり折れた甘い保護者に、かいちょは笑顔で伸び上がった。
お礼とともにくちびるにちゅっと音を立ててキスすると、がくぽにぎゅっと抱きつく。
すぐに顔を上げると小さな口をぱっくり開き、がくぽの首にかぷりと牙を立てた。