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がくぽに手伝ってもらって服を脱ぐと、かいちょはバスルームに飛びこんだ。
「かいちょ、走るな。滑って転ぶ」
「あのね、あひゆちゃん………」
浴槽に浮かべるあひるちゃんを掴んでがくぽを振り仰ぎ、かいちょはきょとんとした。
じじーっとがくぽを見つめ、それから自分を見る。
「かいちょ?」
「…………んとね、んとね………?かいちょはおちょこのこで、ぁくぽもおちょこのこでしょ?」
「ああ。そうだな、同じ男だ」
浴槽に手を突っこんで湯温を確かめつつ、がくぽは頷く。
そのがくぽを、かいちょは顔を突っこむようにして覗きこんだ。
「れも、かいちょのと、ぁくぽの、かたちちぁうの…………」
「形?」
眉をひそめてから、がくぽはかいちょが覗きこんでいるものに気がついた。
「…………………かいちょ、ひとのどこを見て話している」
「ね、かたち、ちぁうの」
話を聞かず、体を引いたかいちょは自分のものを掴んで、がくぽに見せる。
「おっきさもちぁうし、かたちもいろもちぁうの。ぁくぽのがヘンなの?かいちょがヘンなの?」
不安そうに問うかいちょに、がくぽは眉をひそめた。ものがものだけに、説明に悩む。
「………どちらが変ということではない。大人と子供の違いだ」
「おちょなところもで、おっきさもかたちも、いろもちぁうの?」
「ああ。…………いいからかいちょ、とりあえずそう、まじまじと見ながら話すのを……」
「かいちょのはころもので、ぁくぽのは、おちょなのなの?おっきさとかたちといろと、ほかにもちぁうの?おちょなのって、ころもとなにがちぁうの?いつおちょなにかわゆの?」
こんな幼い子供に、どこまで話したものかが悩ましい。そもそも話したところで、理解が出来るものか。
悩むあまりに少しばかり心ここにあらず状態だったがくぽに、かいちょは小さな手を伸ばした。
「か、かいちょ……!!」
小さな手に無遠慮に撫で回されて、がくぽは慌てた。
「ひとのものを、そう気安く……!」
「あぇ?なんか、あっつく、かたくなって……ふきゃっ?!」
がくぽは強引にかいちょを引き離すと、後ろを向かせた。振り向こうとするのを、がっしりと押さえる。
「かいちょ、百まで数えたら振り向いていい。一から百だ。この間、教わって来ただろう?」
「ん、かいちょ、かぞえらぃるんだよ!」
得意そうに言うかいちょに、がくぽは見えないとわかっていて、苦しい笑みを浮かべた。
「よし、では数えてみろ。数え終わったら、振り向いていいからな」
「ん!んっと、ちーち、たーち、みーち、…………みーち、……………みーち?」
指折り数えるかいちょの背中を見つつ、がくぽは自己嫌悪に項垂れながら、体が治まるのを待った。