ちゅ、と小さな音を立てて、くちびるに、くちびる。
寄せては反す波のように、くり返し、くり返し。
キス×キス×キス
「ふ………んん………っ」
膝の上のカイトは、むずかるような声を上げて、何度も何度もくちびるを寄せる。
その後頭部を、あやすようにも煽るようにも取れる手つきで撫でながら、がくぽはわずかに視線を上へとやった。
快晴の、気持ちの良い青空だ。風もそよそよと心地よく、温度は暑くもなく寒くもない、適温。
屋上の居心地の良さは、抜群だ。
「ん………がくぽ………っ」
「ああ」
じれったく呼ばれて、がくぽはカイトを抱き寄せ、くちびるを交わす。
内緒だよ、と微笑むカイトに連れられて、上がった屋上。
二人きりで昼食を食べ、それから、がくぽがカイトを膝に抱え上げて――延々、キス。
頃合い的に、そろそろ、昼休みが終わる。
そうしたら、カイトを放して、授業に出なければならない――がくぽ個人としては、このまま、屋上で過ごしたい。膝の上にカイトを乗せて、抱きしめて。
けれど、カイトはそうはいかないだろう。生徒の規範となるべき生徒会長で、もうひとつ言うと、絶望的に成績が悪い。
赤点常習者なのに、授業をサボるなど、言語道断。
とは、思っても。
「ん………んん…………っ?!」
急にきつく縋って吸いついてきたがくぽに、腕の中で、カイトはびくりと強張る。
「ん………っんーっ!」
苦しそうに胸を叩かれて、肩を引っ掻かれても、がくぽはしつこくねちっこく、カイトの口の中を漁っていた。
やがて、始業五分前を告げるチャイムが鳴る。
「っぷはっ!」
ようやく離れたがくぽに、カイトは肩で息をする。
呼吸困難のせいだけでもなく、赤く染まった顔で微笑むと、がくぽの頬を撫でた。
「…………また、放課後、ね」
濃厚なキスの余韻で、わずかに舌足らずに吐き出される、甘い約束。
がくぽは顔をしかめ、そっぽを向いた。カイトを抱きしめる腕に、わずかに力を込める。
「立てるのか」
「………」
しばらく沈黙し、カイトはため息をついて、がくぽへと凭れかかった。
「こんっの、確信犯…………」