舌先を絡め取られて、ちゅっと音を立てて啜られる。
「ん………っ」
背筋をぞくりとしたものが這い登り、カイトの鼻からは甘い吐息がこぼれた。
キス・マネ・キス
煽られたように、身を乗り出すがくぽがさらに深くくちびるを重ねてくる。
「ん、ぁ……………あ、え、ぇと、んん…………っ」
「は、せんせ…………っ」
「ん…………っ」
いつも落ち着いている声が興奮に上擦って、舌足らずにカイトを呼ぶ。
またもや背筋が痺れて呻き、カイトは伸し掛かってくる体にきゅっと縋りついた。
しかしその手はすぐに、相手を押しのけるような動きに変わる。
「ん、が、くぽ………ちょ、ん………っ、ちょっと、もぉ…………っ」
「せんせ………?」
離れたくないと駄々を捏ねるように、がくぽはカイトのくちびるに吸いつく。
カイトの座る椅子に片膝を乗せている体も、さらに重みを掛けるように傾いてきた。
自分とのキスにそんなに夢中になるなんて、かわいさのあまりに、カイトの胸はきゅうんと締め付けられる。
そうとはいっても――
「ね、べんきょ……………べんきょ、しよ…………?こんな、キスばっかりしてたら、俺、おきゅーりょーどろぼーだよ…………」
「……………そんなの」
舌足らずに乞うカイトに、がくぽはようやく体を離した。
ひどく子供っぽく拗ねた表情になって、現実的なことを言って熱を冷まそうとする恋人を睨む。
そう、恋人だ――がくぽに勉強を教える家庭教師だけれど、カイトは恋人でもある。
「ね、がくぽ…………?せんせに、お仕事させて…………?」
「…………」
熱っぽく諌められて、がくぽはさらに眉をひそめた。
椅子の上でとろりと蕩けた甘い体を眺め、ややして頷く。
「勉強なら、しているでしょう?上手なキスのやり方」
「……………がくぽ」
無茶苦茶を言う生徒に、カイトは小さくため息をこぼした。
カイトの契約に、キスのやり方を教える、などというものは入っていない。
「も…………しょーがない子…………」
それでも一度天を仰ぐと、カイトは腕を伸ばして、離した体を抱き寄せた。
「あとちょっとだけ、だからね…………?」
「っ!」
熱っぽく吐き出された許諾に、がくぽの表情があからさまに輝く。
なんてかわいい、年下の恋人――
「先生…………っ」
「ぁ、ん……………っ、がくぽ…………っ」
あまりに素直に歓ばれて、カイトの胸はまたもやきゅんきゅんにときめき、そのときめきの分だけ、キスの時間は延びた。