キュービック・ビーム
「11月23日で、いいにぃさん…『いい兄さん』の日か。まあ、確かにオラトリオの日だな」
笑うオラクルに、オラトリオは首を傾げた。
「おまえは祝ってやらねえの?」
「なに言ってるんだ。おまえは私の兄さんじゃないだろう」
「違うって」
呆れたようなオラクルに、オラトリオこそ、呆れた顔になる。
「師匠だよ。おまえにゃ、コードっつー、すてき兄様がいるだろうが」
「コード?」
きょとんとしてから、オラクルはあっさりと肩を竦めた。
「コードは兄さんじゃないだろう」
「おいおい…………」
某師匠が聞いたら泣くのを通り越して、石になるかもしれない。
見物といえば見物だが、さすがに哀れになって顔をしかめるオラトリオに、オラクルは首を傾げる。
「コードは『兄さん』じゃなくて、『兄様』だろう。『兄さん』の日なんだから、コード『兄様』にお祝いしてやるのは違うだろう?」
「ああ、うん…………」
オラトリオは遠い目をして頷いた。
「おまえが信彦とメル友な理由が、なんとなくわかったわ……………」