「ん、も……っゃぁあ、ふ、ぁあう………っぅ、ふぇ、ぐす………っがく、がく……っさまぁ……っがくぽ、さまぁ……っ」
布団に俯せにされたカイトは、尻を高く掲げて突き出した格好で、泣きべそを掻きながらがくぽを呼んだ。
掴まれて逃げられないようにと押さえこまれている腰だが、与えられる快楽にひっきりなしに揺らめいてしまう。
でぃおにそしぁ・あめしすてぃ-20-
「ぁ、もぉ………っがく、ぽ…さま………っひっ、ぁあ、ぃやぁ………っ」
「大人にしろ、カイト」
突き出させた尻に顔を埋めていたがくぽは笑いながら、逃げるカイトの腰を引き寄せる。
わずかに顔を上げると、そのくちびるから唾液の糸が伸びて、カイトのそこと繋がった。ちゅるりと音を立ててその唾液を啜り、がくぽは濡れそぼったくちびるを舐める。
「昨夜は、大して準備もしてやらぬで貫いてしまったゆえな。このままでは、そなたが痛いばかりだ」
「ぅ、ふぇ………っひくっ」
がくぽの言いたいことは、わからないではない。起き上がったときにも、そこが引きつれるように痛んだ。
だから理解しないでもないが、そうだとしても。
「ん、ぁ………がく、ぽ、さまぁ………ね、ぉねが……おねがい………です。ぉねがい……です…から………ほどいて……カイト、いたい………いたぃの、………ほどいて……くださ…………っ」
与えられる快楽に蕩けて力の入らない上半身を布団に埋めたまま、カイトは懸命に体を捻って後ろを振り向く。
下半身もすでに蕩け落ちそうなほどにどろどろの快楽に巻かれていたが、こちらはがくぽがしっかりと抱えて持ち上げている。
高く掲げられているために、目に入るその場所。
がくぽが舐めるのは、昨日初めて男を知った、まだ初心で馴れないカイトの蕾だ。
たっぷりと唾液をこぼしながら舐めしゃぶられて解かれるそこから、余った雫がこぼれて、反り返るカイトのものへと伝っている。
がくぽがいつも髪を結うのに使っている、きれいな綾紐で縛り上げられた、カイトのものに。
「ふ……っも、ぃきたぁ………いきたい……いきたい、ですぅ………っいたいの……ぃたいの、がくぽさまぁ………っ」
手加減を捨てたがくぽが施した入念な愛撫によって、カイトは事の初めに立て続けで二回、吐精してしまった。
これでは自分が刺し貫くまで持たないだろうと、三回目にカイトのものがある程度まで勃ち上がったところで、がくぽは無情にもそこに綾紐を巻いたのだ。
周囲もぐるりと縛られているが、なにより根元をきつく押さえられて、吐き出したい熱が吐き出せない。
とろとろと、ようやく蜜をこぼすのが精いっぱいで、ひたすらに血が集まるのに、その血は溜まっていくばかりだ。
全身が蕩けて力が入らなかったが、下半身は蕩けるというより、熱の塊に突っ込まれたままのようで、すでに苦しい。
泣いて嘆願するカイトの手は、布団からはみ出してかりかりと畳を掻いた。
その細い両手首にも、腰紐が巻きつけられて自由を奪われている。
与えられる快楽の過激さに惑乱したカイトが少しばかり抵抗したら、『大人に出来ぬなら仕置きだ』とがくぽは言って、放り出してあった寝間の腰紐で両手首をまとめて、頭の上で縛り上げてしまった。
どうやってももう、カイトには抵抗する術もなく、解放される術もなく、ひたすらに泣いて嘆願するしかない。
「ぉねが、おねがい………ですぅ………ほどいて………いかせてぇ………っ」
「そうそうすぐに極まっているようでは、俺に付き合いきれんだろう」
泣いて嘆願しているのに、がくぽはあっさりとそう言う。
覗く下半身は明るいところで見れば、よくぞ昨夜、自分が無事に受け入れられたものだと思うような逞しさで、そそり立っている。
きっとがくぽだとて苦しいと思うのに、彼はさっきからずっと、抱え上げたカイトの蕾を舐め解すことに熱中していた。
舐められているのは、ほんの表面だ。指やものに比べれば、舌が押しこめる領域などはたかが知れている。
だというのに、その舌遣いの巧みさに、カイトはずっと射精感を煽られ続け、快楽を逃がすための声を堪えることも出来ずに、泣きっぱなしにされていた。
「がくぽさまぁ………っ」
「もう、大人なのだろう?それに俺になら、なにをされても赦すのだろうが。この程度、耐えてみろ」
「ふぇえ………っ」
平然とがくぽは言うが、カイトにはとても『この程度』とは思えない。
しかし比べる相手もいないから、反論も出来ない。
ひたすらに布団に埋まって悶え泣くしかないカイトに、がくぽのくちびるが笑みを刷く。
「――このようなことを、他の男に赦すつもりだったと?」
言いながら、垂らした唾液と施された愛撫で自分勝手にぴちゃぴちゃと水音を立てる場所に、指を差し入れた。
中へと辿り、くるりと掻き回してから、弱いとわかっている場所を抉る。
「っゃぁあっ」
一際かん高い声を上げて仰け反ったカイトに、がくぽは二本目の指を差し入れ、突き出させた場所をくぷりと開いた。
「ここに、他の男を受け入れ、腹の中に、汚猥を受け止めるつもりだったと…」
「ふぁあ……っぁあ、やぁ………っぁ、も………もぉ、もぉ………っひ、ぅ………っだせ、だせない、のに………だせない、のに、いっちゃ………ぁあ、いっちゃう……いっちゃぅう……っっ」
頭の中が、白く弾けたらしい。
縛られたまま、それ以上どうにもならなくなっている性器はそのままに、カイトの体は一度仰け反って硬くなってから、急速に緩んだ。
がくがくと激しく痙攣をくり返しながら、持ち上げている腰も重みを増して、布団の中に沈みこむ。
「ぁ………あー………あー…………ゃぁあ…………っおさまんな………きもちいいの、おさまんない………がくぽさま………がくぽさま、カイト………きもちいいの、終わらないぃ………っ」
「………」
痙攣したまま悲鳴を上げるカイトに、がくぽのくちびるははっきりと笑みの形を刻んだ。
差し入れた指が、激しくうねる粘膜に締め上げられ、揉まれて、カイトが間違いなく極みに達したことを教えている。
「………どの男に遣ったとて、この淫乱な体なら、さぞ悦ばれような」
「ふ………っ、は………っはぁ………っひ………っ」
ぐすぐすと洟を啜りながら、カイトは腰を揺らめかせる。
縛り上げられた性器から垂れる蜜は量を増したが、すべてを吐き出すには程遠い。
そして血が集まっている限りは、痛みと快楽の双方をカイトに与え続ける。
「ふ………っふぇ………っぁ……っ?!」
新たな涙で潤んだカイトは、その瞳をはたと見張った。
一度は落ちることを赦した腰を、がくぽが再び抱え上げている。
慌てて首を捻って振り返ると、昨夜どうして入ったのか、本当に入ったのか自信を失くす逞しさを持ったものが、ひくつく自分の蕾に宛がわれていた。
「ぁ……」
「カイト」
ぴくりと震えたカイトを、がくぽは傲然と呼んだ。
「そなたを抱く男の名を言え。貫く男の名を。そなたの腹を犯す男は誰だ?」
訊かれて、カイトはくちびるを戦慄かせた。
しかしそれは怯えからでもなく、恐れからでもなく。
「……が、がくぽ……さま………」
吐息のような甘い声が、くちびるからこぼれた。
こぼれて、その後を、熱い想いが追って吐き出される。
「がくぽさま………がくぽさまが………がくぽさま、が…カイトのことを………」
名前をつぶやくたび、呼ぶたび、確認するたびに、カイトの体に入っていた余分な力が抜け、蕩けてうねりだす。
がくぽはくちびるを笑ませると、愛おしげに名を囀るカイトの中に、己を押し進めた。
「っ、ぁ、ぁあ………っひぃぁあ………っあ………っ」
「………っふ……っ」
さすがに二度目だと、まだきつい。
いくら解してやっても限界はあって、痛いほどに締め上げる場所に、がくぽも小さく呻き声を漏らした。
自分の持ち物が武将に相応しいということもあるが、そもそもが全体に小柄で華奢なカイトの狭さも、なかなかだ。
これまで数年かけて馴らしてやって、快楽を追えることを教えてやったが、いざとなるとわずかな助けにしかならない。
「ぁあ………ぁあ……っ」
縛られた両手を突っ張らせて、畳に爪を入れて震えるカイトを眺め下ろし、がくぽは小さく呼吸をくり返した。
やがて苦労の末に己をきっちりと収めきったころには、カイトはぐったりと布団に沈んでいた。
「………このようなことを、他の男にされても、堪えてみせると」
つぶやいて、がくぽは身を屈めた。汗を浮かべてしっとりと潤い、仄かに赤く染まる背に覆い被さって、短い髪から覗く耳朶にくちびるを添わせる。
「ぁあ……っん、や………っぅご、ぃ………ぁっ」
姿勢を変えたことで、中の角度も変わる。落ち着ききっていない内襞をごりりと擦られて、カイトはびくりと震えて頭を振った。
首を捻ってわずかでも上を見れば、獲物を捕らえた肉食獣そのものの表情で、がくぽがカイトを見下ろしている。
満足そうな、それでいてどこか不満を消せない瞳が、泣いて悶えるカイトを厳然と映していた。
「………良いか、カイト。良く訊け。そなたは我のものだ。我ただひとりのものだ。そなたを、他の男と共有するつもりはない。ましてや譲る気など、毛頭ない。他の男に、指一本、爪先一枚、髪の一筋まで、触らせはせん」
「ぁあ………あ………っ」
吹きこみながら、がくぽは耳朶を咬み、首に浮かぶ筋を舐め辿り、またきりりと牙を立てる。
惑乱するしかないカイトの耳には、がくぽの言葉がよく聞き取れない。
聞き取れないことがわかっていても構わずに、がくぽは赤く熟れたカイトの耳朶に戻って、血が滲むほどに牙を立てた。
「ゃぁあっ!」
びくりと大きく背を仰け反らせたカイトの中が、激しく収斂をくり返す。
絞り上げようとする内襞の動きに堪え、がくぽは歯型のついた耳朶を離すと、耳の中に舌と言葉を差しこんだ。
「そなたは我のものだ、カイト。良いな、我のただひとりの『姫』、我だけの『姫』だ。そなたに触れるのも、そなたが触れるのも、我だけ。今後なにあろうとも、そなたは我以外の男のことを口にしてはならん」
「ふ……っぁあ………っ」
吹きこまれる声と言葉に、カイトは背筋を震わせる。
がくぽは軽く身を起こすと、崩れるカイトの腰を抱き直した。
ある程度解けてきたことを確認すると、ゆっくりと腰を突き上げだす。
「ん、ぁ、ぁああっ………ふ、ひぃぁあ………っ」
不自由な手を悶えさせながら、カイトはがくぽの突き入れを受け止める。
綾紐で縛られた場所はもう、痛さを通り越して痺れているようだ。
震えるカイトの腰を掴み直し、がくぽはさらに深く強く腰を押しこむ。
「良いな、カイト。そなたは我のものだ。我のためだけの、『姫』だ」
「ぁあ……っ」
答えられないままに揺さぶられるカイトに、がくぽの動きに一層の熱がこもった。
そのうえで、命じる。
「呼べ、カイト。そなたを所有する男の名を。そなたに触れ、そなたを喘がせ、そなたの傍らに在り続ける男の名を!」
「ぁあんんっ、んんぅっ」
指で抉られても世界が飛びそうな場所を突かれて、カイトは布団に埋まってひたすらに悲鳴を上げる。
赦さずに、がくぽは崩れるカイトの体を抱き起こして、膝に乗せた。
「ぁ、あ……っがくぽ、さま………っがく…っふか………っふかぃい、ですぅ……っや、め………っああ、カイト、カイト、また………っまた、でないのに、いっちゃ………っ」
「カイト」
滂沱と涙をこぼして暴れる体を抱きしめ、がくぽはカイトの顔を覗きこんだ。
「呼べ」
「っは、ぁ………っ」
乞われて、願われて、カイトは飛んだ瞳でがくぽを見つめる。
瞳に甘い色が宿って、熱っぽく潤み、こぼれた。
「がくぽさま」
声が発されて、中がきゅうっと締まった。
「がくぽさま………がくぽさま、がくぽさま………っ」
囀りをくり返しているうちに、カイトの顔に笑みが戻った。
ふんわりと笑うと、カイトはがくぽに体を預ける。
「がくぽさま、すき……だいすき……だいすき、がくぽさま………っ」
「……っ」
続いた心情の吐露に、がくぽは小さく呻くと、カイトの腹の中に激情を放った。