おばかさんのカフェラッテ
リビングにいくと、がくぽがうつぶせで床にたおれていました。
そばにはコップがおちていて、コーヒーがこぼれています。がくぽはそのコーヒーで、床に『カイト』という字を書いていました。
「………………………がくぽ。今日は、タンテイさんごっこなの?」
がくぽの思いつくあそびは、ヒメハナにはよくわかりません。なんだかいっつも、なにかがおかしいのです。
頭のそばにしゃがんできいたヒメハナに、がくぽはぶるぶるとふるえながら、顔をあげました。
「ま、マスター……………」
「なぁに?」
がくぽはエンギがじょうずです。ほんとうにしにかけのひとみたいな顔で、ヒメハナはちょっぴり心配になりました。
たとえケンカしたって、カイトががくぽにらんぼうなことをするなんて、ぜったにないはずですけれど――
ほんとうにしにそうな感じのがくぽは、ヒメハナを泣きそうな目で見ました。
「マスター……………!どうしてカイトは、ああもかわいらしい………………?!」
「………………………」
ヒメハナはきょとんとして、目をぱちぱちとさせて、がくぽを見ました。
言ってから力つきたがくぽは、またばったりと床にふせます。
ヒメハナはしゃがんだまま、首をかしげました。
やっぱり、がくぽってヘンです。
「がくぽ。カイトはかわいくないわよ」
ヒメハナはちっちゃくてもマスターなので、ロイドがまちがったら、きちんと教えてあげないといけません。
ぴくん、とケイレンしたがくぽに、ヒメハナは教えてあげました。
「カイトは『かわいい』んじゃなくて、『きれい』なのよ、がくぽ」
がくぽはしばらくだまってかんがえてから、うつぶせのまま、ナットクしたみたいにうめきました。
「なるほど…………………!!」