Day by day
「かいちょ、かいちょ!!かいちょはせっしゃの嫁でごじゃる!!せっしゃにちゅーしたり、すりすりしたりしてもいいのは、かいちょだけでごじゃる!!」
膝に座ったがくたんが伸び上がって言うのに、カイトはほんわりと微笑んだ。
「うんうん、がくたんがおっきくなったらねー。はい、がくたん、あーんして」
「あーんっ」
言われるままに、がくたんは大きく口を開く。カイトはそこに、プリンを乗せたスプーンを差しこんだ。
「おいしい、がくたん?」
「ぅむ、うまい!かいちょがあーんしてくれると、いつものぷりんも何倍もうまいでごじゃる!!」
無邪気に言うがくたんにカイトはうれしそうに笑い、スプーンを置くと、小さな体をぎゅうっと抱きしめた。
「ああも、ほんっとがくたんってかわいい!」
「む、む、む!せっしゃはかいちょの婿でごじゃる!!かわいいではなく、かっこいいと言うでごじゃる!!」
「だってかわいいもん!!」
「むむむっ」
笑いながら頬ずりされて、がくたんは複雑な顔になった。
カイトにぎゅうされて、すりすりされるのはうれしい。
うれしいが、がくたんはカイトの『婿』だ。夫だ。かわいいではなく、かっこいいと言われて擦りつかれたい。
しかし擦りつくカイトはかわいい。
かわいいしうれしいし、以下略。
「かいちょ、かいちょ!ちゅーするでごじゃる!!」
「ん?はい、ちゅっ」
「むーっ」
笑って、カイトはがくたんの頬にキスをする。
違う。欲しいのは以下略。
がくたんは盛大に眉をひそめると、自分をぎゅっと抱きしめるカイトへ懸命に向き直った。
顔を捉えると、伸び上がる。
「んっ!!」
「ん…………もぉ、がくたん………」
勢いよくくちびるにぶつかったがくたんに、カイトはほんのりと目元を染めて笑った。