練乳いちごのシラップ漬けハチミツソース
「かいちょ、迎えに来たぞ。帰ろう」
「ぁくぽーっっ!!」
託児室の玄関で呼んだがくぽに、かいちょは満面の笑みで走り寄って来た。
びたっと足にくっついた小さな体を抱き上げると、かいちょはうれしそうにがくぽへ頬をすり寄せる。
「良い子にしていたか、かいちょ?」
「してたっ!」
「よしよし。では、帰りにアイスを買ってやろう」
「あいしゅーーーっっ!!」
頭を撫でながら言われ、かいちょはますます輝く笑顔になる。
保育士と挨拶を交わすと、がくぽはかいちょを抱いたまま、帰途についた。
「今日はなにをしていた?」
「んっとね、んっとね、みぅたーと、るーたんと、おままごちょした。かいちょがだんなしゃまでね、みぅたーとるーたんが、およめしゃんなの」
「妻が二人か………」
末恐ろしい子供だと震撼するがくぽに気づかず、かいちょは目元を染めて、もじもじと俯いた。
すりりと、がくぽに頬をすり寄せる。
「でもね、ぇもね………かいちょがいちばんしゅきなのは、ぁくぽなの。かいちょがほんとにケッコンすゆのは、ぁくぽなの………」
「………」
熱っぽく吐き出された言葉に、がくぽは天を仰いだ。
本気で末恐ろしい。
軽く口説き落とされかけた。
危機感を抱くがくぽの頬に、かいちょはそっと手を伸ばす。
「ね、ぁくぽ。やくしょく、ね?かいちょとケッコン」
「……」
ささやき、わずかに尖ったかいちょのくちびるがそっと触れる。
がくぽはため息をつくと、かいちょの頭をわしわしと乱暴に撫でた。
「早く大きくなってくれ………このままでは、犯罪者街道まっしぐらだ」