Holy & Holly
白い綿毛で作られた着け髭のゴムを耳に引っかけると、小人サンタの完成だ。
「かわいいっ、がくたん!」
「んぬっ!」
がくたんを小人サンタに仮装させたカイトは、満面の笑みで言った。
ぎゅうっと抱きしめて頬ずりすると、いつもとは違って、ふわふわの着け髭の感触だ。
もちろん、がくたんの肌のすべすべもとても気持ちいいけれど、これはこれで。
「んん、きもちいー………」
「かいちょ、かいちょ!」
思わずうっとりするカイトに、いつもなら大人しくすりすりされているがくたんは、じたばたともがいた。
「がくたん?」
きょとんとして顔を上げると、がくたんはまじめにカイトを見た。
「かいちょも、仮装するでごじゃる!」
「え?ああ、うん。そうだね、カイトは……」
「せっしゃにまかせるでごじゃる!!」
「へ?」
腕の中からもがき出たがくたんは、ばたばたと走って行き、クロゼットの中からカイトのマフラーを取り出して戻ってきた。
「がくたん?」
「すわるでごじゃる!」
なにをするつもりなのかわからずに首を傾げたカイトを、がくたんは床に座らせた。
そして素直に座ったカイトの体に、ぐるりとマフラーを渡す。
「ん……っんっ」
「……………がくたん、なんだか最近、いっしょけんめーにリボン結びの練習してるなーと思ってたんだけど…………」
ぽつりとつぶやくカイトの言葉を聞くことなく、顔を真っ赤にして、がくたんは懸命に手を動かす。
ややして、マフラーで縛り上げられ、リボン結びされたカイトが出来上がった。
「かいちょは、ぷれぜんとに仮装でごじゃる!!」
得意満面に言われ、カイトは小さく吹き出した。
体を畳んでぐるりと縛られて、立つことも出来なければ、がくたんを抱きしめることも出来ない。
それでも得意満面のがくたんはかわいくて、カイトはことりと首を傾げた。
「がくたん、カイトはだれにプレゼントされちゃうの?」
訊かれて、がくたんはカイトに抱きついた。
「もちろん、せっしゃのものでごじゃる!!」
小人サンタは高らかに宣言して、笑うプレゼントのくちびるにちゅっと音を立ててキスをした。