Second Birth
「がくたん、お誕生日おめでとっ」
「んむっ!」
笑顔のカイトが、がくたんのほっぺたにちゅっとキスをする。
うれしそうにキスを受けたがくたんは、しゃがみこんで目線を合わせてくれているカイトの首に腕を回した。
さらに伸び上がると、笑みの形のカイトのくちびるにちゅっとお返しのキスをする。
「ありがとうでごじゃる、かいちょ!」
「もぉ、がくたん…………」
くちびるを『奪われて』しまったカイトは、ほんわりと頬を染め、わずかに困ったように瞳を細める。
けれど、うれしそうなままだ。
『抱きしめる』というよりは、『しがみついている』と言ったほうがいいようながくたんを抱き上げると、そのぷにぷにほっぺたにもうひとつ、キスをした。
そのうえで、こつんと額を合わせる。
「ね、がくたん。カイトにも、おめでとうして?『お誕生日おめでとう』」
「かいちょに、で………ごじゃるか?」
カイトの求めに、がくたんは不思議そうに瞳を瞬かせた。
いくら幼くても、カイトの誕生日がいつかくらいは知っている。
がくたんの誕生日とは、まったく違う日だ。とっくに済んでしまって、まだまだ先の話。
きょとんとするがくたんの額に額を擦りつけ、カイトは悪戯っぽく笑う。
「うん。カイトも、今日がお誕生日なの。…………がくたんに、初めて会った日にね。カイトの人生は、おっきく変わったから…………だから、がくたんの誕生日は、カイトの二回目の、誕生日でもあるの」
「ぅぬ?」
カイトの言うことは、いくら敏いがくたんでも多少、難しかった。
しかし、ニュアンスはわかる。
がくたんと出会ったことで、カイトはそれまでとは違う、新しい生き方を選んだのだろう。
それは、『生まれた』と表現してもいいほどに、世界の劇的な変化。
がくたんが生まれて、出会ったことで――
「かいちょ!」
がくたんはにっこり笑うと、カイトの首に回した腕にきゅうっと力をこめた。
ちゅっと、もう一度、くちびるに触れる。
「おたんじょーび、おめでとうでごじゃる!!」
またしても、くちびるを『奪われて』しまった。
カイトはほんのりと頬を染め、ぎゅううっとがくたんを抱きしめた。
「うん、ありがと、がくたん。…………生まれてきて、カイトのこと選んでくれて、ありがと…………」