いちごばななめろんクリームアップル混ぜ
「よし、かいちょ、くちゅくちゅぺーっだ。口の中を、よく漱いで」
「んちゅんちゅ、ぺーっ」
「よし、じゃあ、見せてみろ。『いーっ』だ、かいちょ。『いーっ』」
自分ひとりでの歯磨きを終えたかいちょを抱き上げ、がくぽはスツールに腰掛けた。
「『いーーーーーっ』」
言われるまま素直に、かいちょは口の脇に指を突っ込み、割り広げてがくぽに歯を見せる。
軽く点検したがくぽは頷き、かいちょの歯ブラシを取った。
「ああ、だいぶ上手くできるようになってきた………あとは、いいか、ほら、ここ」
「いーっ」
「歯の付け根だな。あまり力いっぱいやると、歯茎から血が出るから難しいが、やはり磨かないと」
「いーーっ」
どこに磨き残しがあるかを教えながら、がくぽは力加減に気をつけつつ、仕上げ磨きをしてやる。
見えないのだが、かいちょは精いっぱいに瞳を下に向け、歯ブラシの動きを追う。ヘン顔ぶりが、非常にかわいらしい。
密かに癒されつつ、がくぽはかいちょに大きく口を開けさせる。
「あとは、奥歯の奥。かいちょ、一瞬だからな?」
「んぉえっ!………やーーっ!!オクやーっっ!!」
「よしよし、終わりおわり。大丈夫だろう?もう一回、くちゅくちゅぺーしろ」
「んちゅんちゅんちゅんちゅ、ぺーーーーっ」
自分ひとりでも、かなりうまく磨けるようになってきたかいちょだ。仕上げ磨きの時間も、ずいぶん短くなった。
漱ぎ終わったかいちょはがくぽの膝の上で伸び上がり、自分から『いーっ』としてみせる。
「ぴかぴか、きぇい?ぁくぽ、かいちょ、きぇい?」
「ああ、きれいだ」
「んふっ!」
問われるままに褒めてやると、かいちょはご満悦顔になって、がくぽの頬にちゅっとキスをした。
「よしよし、次はがくぽの番だからな。かいちょ、少し大人しくな」
「ぁーいっ!」
いいこにお返事したものの、かいちょの『大人しい』は、じっとしていることではない。
膝に抱え上げたままのせいもあるが、がくぽにしがみついたり頬や耳にちゅっちゅしたりと、忙しない。
それでも馴れたもので、がくぽは器用に自分の歯磨きを終え、口も漱いだ。
――ところで、得意満面のかいちょが、置いたばかりのがくぽの歯ブラシを取る。
「ぁくぽっ!ぁくぽのおくちも、かいちょが見てあげゆっ!『いーっ』してっ!」
「あー…………『いー』」
「んーっ」
反論することもなく、大人しく『いー』っと開かれたがくぽの口を、かいちょはじーっと見つめる。
ややしてその顔が、にこぱっと愛らしく笑み崩れた。
「きぇいっ!ぁくぽ、よくできまぃた!!」
「っぅっ」
飛びついてきたかいちょは、そのままちゅっとがくぽのくちびるを掠めていく。
無邪気なそれを受け止めつつも、がくぽは軽く天を仰いだ。