クーピーとぱんぷきん
未練を振り切ると、カイトはきっと顔を上げた。リビングのソファに座り、自分を膝だっこしてあやし中だったがくぽを、揺らがぬ強い瞳で見る。
「がくぽ!おかしいらない!から、イタズラするっ!!」
「うむ」
潔い宣言に、がくぽはこっくりと頷いた。
がくぽの子育て方針如何に因らず、悪戯に関してはブレがないのがうちの子、もとい、がくぽのカイトだ。
「わかった、カイト………手を出せ」
「んっ!って、ん?」
ヤる気漲るカイトに了承を伝えつつ、がくぽは己の懐から小袋を取り出した。悪戯っ子でも、基本的にはがくぽに素直なカイトが言われるまま出した手に、その小袋を乗せる。
『ハロウィン限定☆オバケのオバGグミ』と書かれていた。
グミだ。果汁1%入り。もちろん問題は、果汁の全体比率ではない。
「がくぽ?!これ、おかs」
「うむ、カイト」
おかしへの執着と未練を断腸の思いで振り切っての、カイトの悪戯する宣言だった。がくぽも頷いたということは、肯定、もしくは同意したはずだ。
だというのに、その舌の根も乾かぬうちの、おかし袋。
驚愕に目を見張るカイトをころりとソファに転がしたがくぽは、抵抗を知らない体に伸し掛かりながら、生真面目に告げた。
「おかしをやるので悪戯されてくれ、カイト」