白藤宮愛でおう月草君-03-
「ゃ、や、ゃあん………っ、………ぁ、そこぉ…………っ、せんせ、だめせんせ…………さわっちゃ、ぁう、さわって…………っぁあんっ」
「どっちだろうね、カイト」
苦笑しながら、がくぽはその場所を重点的に攻めて、陸に揚がった魚のように跳ねるカイトを陶然と眺めた。
初めは、指一本だけでも痛がって落ち着かなかったのだ。弱いと言われるところをいくら刺激してやっても、異物感との相殺で、反応も鈍かった。
それが、ちょっとするだけでこうも――
「………カイト」
「ぁ、ん、ん………せんせ………せんせのも、おっきくなってる………びくびくって、してる………」
「ああ」
蕩けた声音で言いながら、カイトは覚束ない手つきでがくぽのスラックスの前を外し、すでに漲っているものを取り出す。そのまま誘うように、軽く引っ張った。
抵抗することなく、がくぽは招かれるまま、体をカイトに添わせる。
「カイト………入れるよ?大丈夫?」
ダメだと言われたところで止まることも難しいのだが、がくぽは念のために訊いた。
そうでなくとも興奮に染まっていたカイトは、さらなる朱に目元を染め、ふわっと笑う。
「ぅん、せんせ。…………おれと、えっち、………して?」
「………カイト……っ」
堪えきれず、がくぽの声は呻くようになった。
欲望が滾るまま、しかし未熟なカイトが受け入れられるよう、注意を払って腰を進める。
「……っぁ、ぁ、かはっ…………ぁ………っかはっ、っぁ…………っっ」
どう誘い、念入りに解したところで、挿入の瞬間にはまだ、恐怖と痛みが付きまとう。
背を仰け反らせて強張り、呼吸が止まりかけているカイトの頬を、がくぽは宥めるように撫でた。
「カイト………カイト、いい子だ、いい子だね……息をして……止めないで。きちんと、吸って……吐いて」
「っぁ、は………っふ、はふっ、ぁうっ………っ」
反射で吹き出す汗に濡れながらも、カイトはがくぽに言われるまま、懸命に呼吸をくり返す。
がくぽは腰を進めることを休み、間に挟まれたカイトのものを手に取ると、緩やかに刺激してやった。
口淫も巧みだが、手先も器用なのががくぽだ。ぴくりと跳ねたカイトの体は、今度は違う意味で悶えた。
「………っぁ、あん……っ、ん、せんせ………っぁ、やぁ…………っ」
「………いい子だね、カイト」
声に甘さが戻ったところで、がくぽはそっと誑かしを耳に吹き込む。
そのままゆっくりと腰を進め、すべてを収めきった。
「ん、ぁ、せんせ…………せんせ、はいってる………?はいってる、せんせ………?」
「ああ。全部入っているよ、カイト。………すごいね、こんなに小さくてきついのに、カイトは私のことをすべて、食べてしまえるんだね………」
「ぁ…………ぁは」
きつさに全身を汗で濡らしながらも、カイトはうれしそうに笑う。
きゅうっとしがみつかれたところで、がくぽはそっと腰を動かし始めた。
「っや、ぁ………っあ、あ……っあ、せん、せ……っせんせ……っ」
カイトは甘い悲鳴を上げて、がくぽにしがみつく。十分について来られるように気は遣いつつも、がくぽは急かされる自分の欲望まま、カイトの中を味わった。
きつく狭く、食い千切られるようで、下手をすると痛いくらいなのが、カイトの中だ。
組み敷いた体の小ささに相応しいが、ここのところ段々と、『男』を飲みこむことを覚え出している。
前回よりも早くに体の強張りが解け、痛いくらいの締め付けは、煽られる蠢きへと変わってがくぽを苛んだ。
やさしく穏やかにといくら思っても、つい腰が急いでしまう。
「ふ、………っ、カイト………カイト」
「ぁあ、あ、せんせ………っせんせ、いっちゃぁ………いっちゃうよぉ……、おれ、せんせので、いっちゃう……っせんせとえっちして、いっちゃうぅ………っ」
切ない声で限界を訴えるがくぽに、カイトもまた、甘ったるく応えた。背中にしがみつく指がきゅっと立って、爪が食いこむ。
「………カイト…っ」
痛みにさらに煽られて、がくぽはカイトを抱きしめると、一層激しく腹の中を抉った。
「っぁああ、せんせ……ぇ……っ」
「っっ」
びくりと跳ねて、カイトが快楽を極める。その締めつけと蠢きに、がくぽもまた誘われて、極みへと達した。
カイトの腹はがくぽの熱を受け止めながら、さらに欲するようにきゅうきゅうと締まって絞り上げる。
幼く無邪気な見た目からは想像もできない、貪欲さ――
これ以上などない悦楽の極みに、一瞬は陶然と宙を見つめたがくぽだが、その顔はすぐに歪んだ。
「………っしまった」
忌々しそうに、小さく呻く。
カイトが極めたなら、がくぽは達する寸前で、抜くつもりだった。中に吐き出すと、始末が面倒だ――もちろん後始末もがくぽにとっては愉しいが、カイトには負担だ。
だから、吐き出すのは腹の外でのつもりで――いたのに、つい、夢中になった。
余裕がないこと、甚だしい。
反省に駆られるがくぽの下では、吹き出すものを腹に受け止めるカイトが、仰け反って震えている。
「……っせんせの………っせんせの、でてる……おなか、あっついの………ぁ、せんせ……っせんせぇ………っでてる……よ……っあっついの、いっぱい、おれのおなか…………っ」
「…………カイト」
「あー…………っあー……………っっ」
陶然とつぶやいていたカイトの体が、再び硬直し、大きく跳ねた。がくがくと、激しく痙攣をくり返しながら、意味もない声を上げる。
どうやら腹に吹き出すがくぽの感触で、またもや極めたらしい。
濡れそぼりながら痙攣する体を眺め、がくぽはくちびるを舐めた。その表情から後悔が消え、ひどく淫猥に崩れる。
「………中に出されたことで、イってしまうなんて………」
がくぽはつぶやきながら、カイトのこめかみにそっとくちびるを落とす。ねこの親が仔ねこの毛づくろいをするように、やわらかく肌を撫で辿った。
「ぁ、んんぅ………っんっ………」
立て続けに達したばかりで感覚が尖っているカイトは、それだけのことにも刺激されて、むずかるような声を上げる。
構わず肌を辿り、がくぽは赤く染まる耳朶を咥えた。
「………私はまだ、君をそこまで仕込んだつもりはないけれどね………素養かな?困ったね、カイト」
「んんんっ」
吹きこまれる言葉に、カイトはまたもやぶるりと震え、快楽の涙に濡れる瞳をがくぽに向ける。
顔を起こしたがくぽはいつもの通りにやさしく微笑んで、カイトの目尻にキスを落とした。
「離せなくなるだろう、そんなに可愛いと?えっちが大好きで、中に出されると、何度でもイってしまうだなんて………。抜いて上げられなくなるよ?あんまり私を、誘惑しないでくれないか、カイト……」
「………ぁ、………はふ」
ようやく落ち着いたカイトは、茶化すように笑うがくぽを蕩けきった瞳で見上げる。
「せんせ」
いつも以上に甘く、強請るように呼ばれて、がくぽは濡れてぺたりと張り付くカイトの髪を梳いてやった。そうすると、まさにねこのように気持ちよさそうに瞳を細め、擦りついてくる。
愛らしいしぐさで懐いてくるカイトのこめかみに、がくぽはもう一度、くちびるを落とした。
「………お母さんが帰って来る前に、いっしょにお風呂に入ろうか、カイト」
「ぁ、おふろ……?………いっしょ?!」
こんな行為の後だというのに、カイトの表情は無邪気に輝いた。
大好きながくぽ先生といっしょにお風呂に入れる、より長く二人でいちゃいちゃ過ごせる――というところで思考が止まっていて、おそらくその他のことはさっぱりだ。
まだまだオトナ色には染まり切っていない、無垢で無邪気な子供。
きゅっとしがみついてくるカイトを抱き返してやりつつ、がくぽは肩を竦めた。
「つい、中に出してしまったし………。君、まだ始末の仕方に、不慣れだろう?ちゃんとしないと後々、大変な思いをするからね。私が責任を持って、きちんときれいにしてあげるから」
「……しまつ?きちんと?」
無邪気な問い返しに、がくぽのくちびるが刷く笑みは淫蕩な色を帯びた。さらにきつくカイトを抱き締めて、頭に顔を埋める。
「ああ。責任を持って、君をお風呂に入れて上げる。全身隈なく、………ここまで、きれいに洗ってあげるから」
「ふ、ぁあうっ」
ここまでと言いながら、未だ入ったままの腰を軽く揺らしたがくぽに、カイトは甘ったるい呻きをこぼしてしがみついた。