ぴーかんお天気。
こーいう日は。
おふとんをほすのです!!!
おひさまおふとん、みかん
「きょぉこそは…………っ」
ぴーかんお日さま、きらきらのお空と屋根を見くらべて、俺はぎゅっとこぶしを握る。
今日こそ、今日という今日こそは、お日さまおふとん。
ふかふかほかほかのお日さまおふとんで、朔を寝かせて上げるのです!!
「っと、そのまえに!」
おふとんを持って屋根に上がろうとして、俺は止まる。
だめだめ、このまま上がっちゃ。
おふとんを縁側に置いて、一度俺だけで屋根に。
きょろろん、と周囲を確認。
「んっ!!ねこかげなし!!」
確認終わり。
俺は屋根から下りて、今度はおふとんを持って上がる。
汚れよけの布を敷いてから、そこにおふとん。
お日さまはきらきらぴかぴか、おふとんを照らしている。
「ふっふっふっふっふ」
っと、いけないいけない
ここで調子にのっちゃだめなんだ。やったーって達成感で気を抜くと、また寝ちゃう。
今日の俺はカンペキ。
すぐに屋根から下りて、おふとんのそばには近寄りません!
で、夕方になったらもう一回屋根に上れば、はい!おひさまおふとんかんせーい!!
「ふっふっふっふっふ!!!」
っととと、だからだめだってば………。
機嫌よく、ぶるんぶるるんとしっぽを振りながら、俺は屋根の端に――
「十六夜?こなた、屋根でなにをしているんだ?」
「え?朔?!」
いつの間にか、屋根のはしっこに梯子をかけて、朔が上って来ていた。
でもでも朔はまだ、今日はお仕事………。
「朔、おしごとは?!」
「日と方角の組み合わせが悪いんで、延べてもらった。おかげで今日は暇だぞ。こなたとも、十分遊んでやれる」
「わ………わぁ!!」
耳がぴん!と立って、しっぽがちぎれそうなくらいにぶるるんと揺れる。
い、いちんち遊んでもらえる………なにしよう、なにしよう!!
「わ、わぁ、わぁあ………!!」
「よしよし、落ち着けおちつけ………それはそれとして、こなた、屋根でなにを……」
朔は苦笑しながら、がたがたと足を踏み鳴らす俺のうしろを見る。
そして、もっと呆れたみたいな笑顔になった。
「こなた、本当に屋根で寝るのが好きだな」
「え?……え?って、え?!」
うしろにあるのは、ほしたておふとん。
これからふかふかほかほかのお日さまおふとんにする予定の……。
「ち、ちがうよっ!!ゴカイだよ、朔っっ!!」
そりゃ確かに、俺は毎回まいかい、気持ちよさに負けて寝ちゃうけど。
本当は、屋根でお昼寝したいわけじゃなくて、おふとんをほしたいの!
「まあな……確かに、今日みたいにいい天気だと、屋根は格別だな」
「だから、朔……!」
ゴカイなんだってば!
反論しようとした俺の脇を抜けて、朔はおふとんのところに行ってしまう。
お空を見上げて目を細めてから、ううんと伸びをした。
「うん、良し。付き合ってやるぞ、十六夜!」
「え、や、待って朔………ちがうの、おふとんは………!」
言いかけるのに構わず、朔はおふとんにごろりと横になる。
また、ううんと伸びをして、気持ちよさそうに笑った。
「きもちいい」
「………」
笑う。
つぶやき。
見つめる俺を、朔は来い来いと手招きした。
「ほら、隣。いつも寝てるんだ、狭いとは言わんだろ」
「………」
ごきげん笑顔。
最上級の――
ふらふらとおふとんまで行って、俺は朔のとなりにころんと横になった。
「よしよし」
「んん………っ」
横を向いた朔が耳を掻いてくれて、思わずのどが鳴った。
きもちいい…………さいこー………!
ひとりで寝るより、ねこと寝るより、ずっとずっと…………!!
「朔ぅ………」
「応」
「きもちい………」
つぶやいて、俺はまどろみに落ちた。