「あ、おにぃちゃぁん!こっちこっちぃ!」
「ミク…」
がくたんを抱いて公園にやって来たカイトは、即座にミクに呼ばれて、そちらへ向かった。
Tomorrow Never...
「呼び出してごめんねぇっ!あ、るーたん連れて来たから、がくたんは……」
「うん。がくたん、ちょっとるーたんと遊んでてくれる?」
「ぬ、かいちょ……!」
返事を聞かず、カイトはがくたんを下ろすとミクに向き直ってしまった。
抗議しようとしたがくたんの手を、るーたんが引っ張る。
「おちょなにはおちょなの話がありまちてよ。がくたん、こっちいらっしゃい」
「む、む、るーどの……っ」
未練げながくたんの手を引き、るーたんは滑り台の傍に立つ。
しかしがくたんは遊ぶどころではなく、話しこむカイトとミクばかり見ている。
「がくたん、レディをほうっておくって、どういうことでちの」
「ぅ……ぬぬ。しかし、るーどの…」
拗ねた声のるーたんとカイトとを見比べ、がくたんは口をもごつかせた。
カイトからは常々、女の子にはやさしくねと、言われている。
しかしカイトが――いや、カイトとミクの様子が、気になる。
「いいじゃありまちぇんの」
るーたんは恨みがましい目で、話しこむカイトとミクを睨んだ。
「おにあいの二人じゃありまちぇんこと?み、みきゅには、あたくちなんかより、かいにぃしゃまのほうが………っ」
「だ、だめでごじゃるぅっ!!」
るーたんの言葉に、がくたんは飛び上がって叫んだ。
ばたばたと、慌ててカイトの元に走って行き、そのまま抱きつく。
「だめでごじゃる、だめでごじゃるぅうっっ!!」
「ちょ、がくたん?!どぉしたのっ?!」
泣きべそを掻いて喚くがくたんに、カイトは目を丸くする。
慌てて抱き上げると、がくたんはぅちゅぅうううううっっと音を立てて、カイトのくちびるに吸いついた。
「んん………!!」
「かいちょはせっしゃの嫁でごじゃる!!み、みちゅどのには、わたしゃぬでごじゃるぅうう!!」
きっと睨まれ、ぽかんとしていたミクは天を仰ぎ、肩を竦めた。
「………お互い、苦労してるんだってことは、わかったわ、おにぃちゃん」