旧型のカイトは『寝惚け』るが、新型のがくぽは『寝惚け』ない。

はず。

だが。

「あ。起きた…って、ぁ、んぁっ、わ、んんっ!!」

PSSS

カイトが寝入ったあとに勝手に布団に潜りこみ、勝手に同衾しているがくぽだ。

のみならずその手は、素肌に直に触れる形でカイトをきつく抱きしめている。素肌だ。すでに寝ているカイトのパジャマを断りも遠慮もなく、肌蹴てまくってたくし上げ、無残に乱れさせて。

「ん、んんっ、ひゃっめっ、ぁ、だめっ、がく、……っがくぽっくすぐ………っぁ、んんゎっ!」

布団の中、がくぽにがっちりと抱え込まれて自由にもならないまま、カイトは悶えて甘く啼く。

背後で顔が見えずとも、カイトにはがくぽが起きたことがすぐにわかる。

くすぐられるからだ。素肌を直に。

正確には、くすぐっているわけではないだろう。

つまり、『寝惚け』ているがくぽは現状把握の一環として、抱きしめているものの感触を確かめるべく、べたべたさわさわなでなでこちょこちょと。

こりこりくにくにぷにぷにつぷつぷと――

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「ぇへへっ。実は朝が弱くって、寝起きが悪いとか……。がくぽって、あんなにかっこよくってしっかり者だし、ちょっと近寄りがたいかもって、思ってたんだけど。……なんかすっごく、親近感っ」

――蜜のように蕩ける笑みで話を締めたカイトに、ダイニングテーブルの対面に座っていたミクは、隣のメイコの袖を引っ張った。

空白の表情でカイトを見つめたまま、ぼそりとつぶやく。

「めーこちゃん。カイトくんもう、食われちゃってない?」

問われたメイコは、食卓からふっと顔を逸らした。

「可能性が高いわね………」