旧型のカイトは『寝惚け』るが、新型のがくぽは『寝惚け』ない。
はず。
だが。
「あ。起きた…って、ぁ、んぁっ、わ、んんっ!!」
PSSS
カイトが寝入ったあとに勝手に布団に潜りこみ、勝手に同衾しているがくぽだ。
のみならずその手は、素肌に直に触れる形でカイトをきつく抱きしめている。素肌だ。すでに寝ているカイトのパジャマを断りも遠慮もなく、肌蹴てまくってたくし上げ、無残に乱れさせて。
「ん、んんっ、ひゃっ!めっ、ぁ、だめっ、がく、……っがくぽっ!くすぐ………っぁ、んんゎっ!」
布団の中、がくぽにがっちりと抱え込まれて自由にもならないまま、カイトは悶えて甘く啼く。
背後で顔が見えずとも、カイトにはがくぽが起きたことがすぐにわかる。
くすぐられるからだ。素肌を直に。
正確には、くすぐっているわけではないだろう。
つまり、『寝惚け』ているがくぽは現状把握の一環として、抱きしめているものの感触を確かめるべく、べたべたさわさわなでなでこちょこちょと。
こりこりくにくにぷにぷにつぷつぷと――
…………………………………………
…………………………………………………………
………………………………………………………………………
「ぇへへっ。実は朝が弱くって、寝起きが悪いとか……。がくぽって、あんなにかっこよくってしっかり者だし、ちょっと近寄りがたいかもって、思ってたんだけど。……なんかすっごく、親近感っ」
――蜜のように蕩ける笑みで話を締めたカイトに、ダイニングテーブルの対面に座っていたミクは、隣のメイコの袖を引っ張った。
空白の表情でカイトを見つめたまま、ぼそりとつぶやく。
「めーこちゃん。カイトくんもう、食われちゃってない?」
問われたメイコは、食卓からふっと顔を逸らした。
「可能性が高いわね………」