カイトが寝入ったあとで勝手に同衾し、カイトのパジャマを勝手に半脱ぎ状態にしたうえでおやすみくまさん代わりにぎゅうっと抱きしめ、挙句目覚めると寝惚けたままに、抱いていたカイトの素肌をむにむにさわさわぺたぺたとくすぐるがくぽだ。

SSSP

「んっ………っぁはっ………っぁ、も、もぉっ、がくぽっ!」

くすぐったいと悶えよがって啼いていたカイトだが、とうとう我慢の緒が切れた。

「もっ、ねっだめっ、がくぽっ!」

新型で高スペックでありながら寝惚け大王であるがくぽは、放っておくといつまでもカイトをくすぐっている。

甘さを含みながらも語気を強めて制止したカイトは、のみならず、自分をがっしりと抱き込むがくぽの腕も掴んで引き離した。

いつもなら、力の差が歴然だ。カイトの力ではそうそう簡単に引き離されないがくぽだが、朝のこの時間だけは別だ。

寝惚けている証か、カイトの力でも易々と離すことが出来る。

「ねっ、起きて、がくぽおはよっ、ねっ?!」

引き離してぐるんと体ごと向き直ったカイトは、勢いままにちゅっとがくぽにキスした。おはようのキスだ。挨拶のキスは、KAITOシリーズデフォルトの設定だ。

そう、挨拶のキスは。

「っぁ、わ、ゎわっ!」

――勢い余ったカイトは、目測を誤ってがくぽの頬ではなくくちびるに、くちびるをぶつけてしまった。くちびるにするキスは、いくら軽く掠める程度でも挨拶のキスとは言わない。

「ご、ごめ、しっぱ………!」

「………」

真っ赤に染まってぱっと離れたカイトを眺めるがくぽに、表情はない。未だ寝惚けているようでもあるし、不機嫌の表明のようでもある。

「ぁのっ、がくぽっ」

「ん」

「んぷっ?!」

うるるんと瞳を潤ませ、重ねて謝ろうとしたカイトのくちびるは、がぱっと開いたがくぽのくちびるにばっくりと食べられた。

そのまままぐまぐと、カイトのくちびるはがくぽのくちびるにやわらかく食まれる。

「んっ、ん………っんんっ?!」

「…………ん」

カイトが事態に追いつけず、目を白黒させている間に、がくぽはちゅっと音を立ててくちびるを離した。

起き上がったがくぽは、未だに布団の中で呆然としているカイトを見やり、てろりと自分のくちびるを舐めてにんまり笑う。

「お返し」

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「がくぽって、とっても厳しくってカタイってイメージなんだけど、ほんとはとってもお茶目さんで、それですっごくすっごく心が広くってやさしくって………ほんと、かっこいいっ!」

――蜜のように蕩ける笑みで話を締めたカイトに、ダイニングテーブルの対面に座っていたミクは、隣のメイコの袖を引っ張った。

空白の表情でカイトを見つめたまま、ぼそりとつぶやく。

「めーこちゃん。このひとたちデキてないねえ、ノロケられてない?」

問われたメイコは、俯いて眉間を押さえると重々しくつぶやいた。

「否定する根拠が見当たらないわ………」